ブログトップページはコチラ

富山県水墨美術館

2024年1月22日

寒い日が続いていますが、

お休みの日にゆっくりとアート鑑賞はいかがでしょうか。

全国でも人気の作品展が、富山で開催中なんです!

 

今回は、富山県水墨美術館で開催中の企画展「超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA」をご紹介します!

image1

超絶技巧展は、全国各地の美術館で行われていて、

水墨美術館ではおそそ5年ぶり、3回目の開催です!

前回よりパワーアップして、戻ってきました。

 

大人気の企画展で、

平日の午前中も、多くの方が見に来ていました!

 

まず、明治工芸についてご紹介します。

明治時代は、日本の政府が変わり、大きく時代が動いた年でした。

また、ヨーロッパなどとの貿易も盛んにおこなわれるようになり、

外貨が必要になりました。

江戸時代のころから、藩に仕え高い技術を誇っていた職人たちが、

外貨獲得のために、精巧な作品を作り輸出していたそうです。

明治工芸の多くは輸出していたので、日本国内に残っている作品は少ないそうです。

 

今回の企画展では、明治時代に作られた作品と、

伝統を引き継ぎつつも、新しい発想で作りだされた緻密で繊細な作品を作っている現代作家のみなさんの作品が展示されています。

 

どの作品も、緻密で驚かされました!

今回は、特に私がびっくりした作品をいくつかご紹介します!

 

まず、ご紹介するのは、現代作家 前原冬樹さんの「一刻 スルメに茶碗」です。

本当にイカを干して作った本物のスルメにしかみえないんですよ!

木製のクリップで挟まれているんですが、

質感といい、イカの10本ある腕の部分であったり、

本当にどこか海沿いの街で干されていそうなスルメなんですけど、木からできているんです!

それも、クリップについている金属に見える鎖の部分から、

スルメの足、腕の部分まで、一本の木からできているんです!

image2

足の部分の細かい隙間は、細い彫刻刀などを使って、

緻密に作業しているそうです。

 

そして、リアルな質感は、東京芸術大学在学時に先行していた油絵で色を付けています。

 

見れば見るほど、本物にしか見えずに驚かされる作品です。

ぜひ、ご覧になってみてくださいね。

 

続いてご紹介するのは、現代作家の森田亜耶さんの作品「ヴィーナスの誕生Ⅱ」です。

作品名だけ聞くと、絵画作品もしくは造形作品かな?と感じると思うんですが、

切り絵の作品です。

 

切り絵は、一枚の紙をカッターなどを使って、人物や植物の形に切り抜くアートの手法です。

一度はやったこと、もしくは見たことがあると思います。

 

ただ、森田さんの切り絵は、私が思っている切り絵の何十倍も緻密で美しい作品でした。

 

まず、作品がすごく大きいんです。

縦横一メートルを超えるほどの切り絵です。

 

そして、今回はヴィーナスをテーマにしています!

真ん中に美しい女性が座っていて、

女性にツタのような木がまとわりついているような作品です。

木には、鳥が止まっていたり、ヘビが身を潜めていたり、

女性の足元にはウサギがいたり。

 

遠目くからみると、モノクロの絵画に見えるほど、細部まで切り絵で再現しています。

女性は、網目のような細かい描写になっていて、

いったいどのくらいの時間をかけて、制作したんだろうと思いました。

近くでじっくりと見てほしい作品です!

 

そして、次にご紹介するのは、明治工芸の作家安藤緑山の作品です。

明治末期から昭和の戦前期に活躍した牙彫師です。

牙彫師とは、動物の牙を用いた作品を作る方のことで、

安藤緑山は、主に象牙、ゾウの牙を使って作品を作っていました。

 

その作っていた作品というのが、リアルな野菜や果物動植物です。

今回は、果物の柿やイチジク、松竹梅と題して、松ぼっくりやタケノコ、梅を作った作品などを見ることができます。

枝付きの柿で、一部変色したり傷がついていたり、リアルを追求した作品です。

固い象の牙で、どうやってこんなにリアルな作品を作ったんだろうと、つい考えちゃいます。

 

そして、安藤緑山の作品と対をなすように、現代作家の岩崎努さんの作品が展示されています。

岩崎さんの作品も、リアルな果物や野菜の彫刻なんですが、

牙ではなく、木で作っています。

富山の伝統工芸・井波彫刻を生業とする家に生まれ、井波彫刻師の父のもとで修業をした作家さんです。

現在も富山で、作品作りを行っています。

作品は、すべて一木造りとなっていて、およそ240本にもなる鑿を使い分けているそうです!

特に、さくらんぼをかたどった作品に目をひかれました。

私の地元ではさくらんぼも有名で、よくさくらんぼ狩りもしていたんですが、

『さくらんぼの木に、このサクランボが付いていても、見分けがつかないだろうな』と感じました。

 

他にも、金工や漆、陶磁器、七宝、ガラス、紙、水墨画、刺繍などなど。

どの作品も、緻密で驚かされます。

ぜひ、一つ一つゆっくりとご覧になってみてくださいね。

 

また、今回の地震で、作品は損傷などなく、すべて無事だったそうです。

現在は、耐震対策を強化して作品を展示しています。

ただ、一部の作品は耐震対策の強化が難しく、展示を取りやめておりますので、

ご注意ください。

 

どの作品も、その道のハイレベルな技術が使われていて、

時間をかけてゆっくり楽しみたい作品展になっています!

ぜひ、お気に入りの作品を見つけてみてくださいね!

 

今回は、富山県水墨美術館で開催中の企画展「超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA」をご紹介しました!

 

**********************

富山県水墨美術館

開館時間 午前9時30分から、午後6時まで

*入室は午後5時30分まで

休館日 月曜日

 

現在開催の企画展「超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA」

期間 2月4日(日)まで

企画展の観覧料 一般900円、大学生450円です。

 

富山県水墨美術館のHPはコチラから。

**********************

mizunashi 12:00 PM