ハリネズミは月を見上げる
2023年8月11日
今日からお盆休みが始まりましたね。
暑いですが、今日はどんな一日だったでしょうか。
お盆は家でゆっくり休むという皆さん、
1冊本を読んでみてはいかがでしょうか。
今回は、新潮文庫から発売されているあさのあつこさんの小説「ハリネズミは月を見上げる」をご紹介します!
もともと大きいサイズの単行本で発売されていて、今年の4月に文庫版でも発売となりました。
あさのあつこさんというと、昔「バッテリー」という本を、夢中になって読んだ記憶があります。6巻まで全部実家の本棚に残っていると思います!
そして、今回ご紹介する「ハリネズミは月を見上げる」は、女子高校生2人のお話です。
小学生の時の経験をきっかけに「控えめでおっとりしてちょっと天然」なキャラを心掛けている高校二年生の御蔵鈴美(みくらすずみ)。
そして、鈴美と同じ学校に通う2年生で、一人でいるのが好きな菊池比呂(きくいけひろ)。
物語は、御蔵鈴美さんの視点で、
「菊池さんは変わっている」という一文で始まります。
御蔵鈴美さんにとって、菊池さんは出会ったことのない種類の人間だと。
どういうこと!?と物語の最初で、
より興味がわきました。
鈴美と比呂、二人が出会ったのは高校二年の夏でした。
鈴美は、小学校の時に同級生から「しゃべりがもたもたしてうざい」と影で言われていることを知ってから、友達に合わせて、控えめなキャラを心掛けています。
そんな鈴美は、朝の通学の電車で痴漢にあいます。
勇気を出して、「やめてください」と男に告げると、
痴漢をした男は逆上。
途中の駅で降ろされ、男は「えん罪だ!」と鈴美に詰め寄ります。
そこに、「私みてましたよ」と助けてくれたのが菊池比呂です。
鈴美はお礼を伝えますが、痴漢をした人だけではなく鈴美にも
比呂はきつい一言を言います。
いつもだったら言い返せない鈴美も、
どうしてそんなことをいうのか?と比呂に問いかけ、
2人の関係がスタートします。
周りから浮くことを恐れる鈴美。
はっきりものをいうタイプの比呂。
毅然とふるまう比呂と出会ったことで、鈴美はどう変化していくのか。
そして、比呂もまた誰にも言えない悩みを抱えています。
正反対の2人が出会ったことで、2人はどう変わっていくのか、
ぜひこの本を手に取って確かめてみてくださいね。
私は、この本を読んで、
ずしっとした気分が重くなるような感じでした。
鈴美や比呂だけではなく、鈴美の幼馴染や比呂の家族など、
みんな悩んで、もがいている様子が、心に刺さりました。
ずしっと来るんですが、読んでよかったなぁと思います。
本の中には、なるほどなぁというフレーズも多く、共感できる部分もありました。
特に、「我儘と我慢しないのは違う」という言葉、
我儘と我慢しないことは似ているようで全然違うことに、ハッとさせられました。
この本を読んで、改めて自分とも向き合えました!
あと、個人的には、この本を読んで、自分の高校時代のこと思い出しました。
私もどちらかというと、鈴美のようにはっきりとモノを言えないタイプでした。
友人との関係に悩み、もやもやしてもなかなか言えなかったので、共感して読んでいました。
悩みの内容は違っても、思い悩み葛藤する様子は、多くの人が共感できると思います!
本当にリアルな学生時代の心情が描かれているなと思いました!
また、本のタイトルは、「ハリネズミは月を見上げる」なんですが、
最後までしっかり読み切ると、あ~!なるほど!となります!
読んでいる間、ずっとタイトルが不思議だったんですが、
納得しました!
370ページと、文庫本の中では少し長めになっていますが、
物語に没頭して一気読みしてしまいました。
ぜひ、鈴美と比呂の様子を見守ってみてくださいね。
今回は、新潮文庫から発売されているあさのあつこさんの「ハリネズミは月を見上げる」をご紹介しました!