秋水美術館
2023年6月19日
週末は、暑かったですね。
本格的な夏が近づいてきているなと実感しました。
今年こそ、夏バテをしないように、
対策を取りたいと思います。
さて、先週のSTEP!では、「秋水美術館」をご紹介しました。
秋水美術館は、立山連峰をはじめとする富山の雄大な自然を背景に、
日本の美を伝えている美術館です。
そして、5月27日から、「徳川家大名家の宝刀」という展示が行われています。
刀や刀の装具、甲冑などを見ることができます。
主任学芸員の澤田雅志さんに、いろいろ教えていただいたんですが、
本当に奥が深くて、取材が終わるころには刀の世界に魅了されていました。
刀というと、武士が戦うときに使う武器ですよね。
ただ、刀には、贈答品という一面もあったこと知っていますか?
武士にとって刀とは、ステータスシンボルであり、
なくてはならない大切な道具です。
武士が大事にしている刀を贈ることは、
武士にとって最大の贈り物だったそうです。
江戸時代を通して、
徳川家と諸大名は日本刀を用いた交流を行っていました。
徳川家から、諸大名に、褒章やこれからもよろしく!という意味で送られることもあれば、諸大名から徳川家に、忠誠心を誓ってプレゼントされることもあったそうです。
そして、贈答品の刀も基準があります。
まずは、由緒正しい刀であること。そして、長い刀を切り詰めて短く直したものは贈り物には適さず、普段使いされていました。
ただし、例外的に短くした刀でも有名な刀鍛冶が作った貴重な刀は贈り物になることもあったそうです。
今回の展示では、3階は、徳川家と親藩大名の宝刀、2階は大名家の宝刀が展示されていますよ!
初めにご紹介したいのが、3階展示室の一番奥に展示されている「8代将軍の徳川吉宗が薩摩藩の島津継豊に嫁ぐ竹姫に送った刀」です。
贈った刀は、平安時代に作られた太刀で、
京都の三条吉家が作った刀です。
現在は、重要文化財に指定されています!
竹姫は、幼くして5代将軍の綱吉の養女になります。
2回婚約をしたんですが、結婚の前に将来の夫に先立たれてしまいます。
その後、吉宗が竹姫との婚約を望んだんですが、
竹姫は吉宗にとって大叔母にあたるということで、
周りから猛反対をうけ婚約がかなうことはありませんでした。
なかなか竹姫の嫁ぎ先が見つからず苦労しましたが、
薩摩藩の島津家に嫁ぐことが決まりました。
吉宗は、最大限の贈り物をして竹姫を送り出そう!と、
平安時代に作られた貴重な刀を贈ったと言われています。
将軍家から大名家に刀を贈るときは、功績や家柄にふさわしいものを贈るのが一般的なんです。
ただ、吉宗が竹姫に送った刀は、徳川家が持っていた中でもかなり高価なもので、破格の待遇だったそうですよ!
この刀、私もじっくり見てきたんですが、本当に美しかった!
1000年ほど前の平安時代に作られたものとは思えないほど、綺麗に保存されていてびっくりしました。
そして、持ち手の部分には、作者の名前も書いてあるので、見てみてくださいね。
また、この刀をしまう「拵え」も、一緒に展示されています。
江戸時代中期に作られ、とっても豪華です。
当時の最高技術を結集してつくった拵えです。
貴重な刀、そして豪華な拵えを贈った吉宗は、
竹姫のことを本当に大切に思っていたんだなぁと感じました。
刀のエピソードを知ると、刀の見方も変わってきますよね。
他にも、剣豪宮本武蔵が所蔵していたとされる宝刀や、
鬼島津とよばれた島津義弘が使っていた刀などが展示されていますよ。
島津義弘が使っていた「刀 銘 西蓮」という剣には、
相手の剣を受け止めたときについた傷が残っています。
持ち手の部分から、10cmぐらい離れたところにありますので、
じっくり見てみてくださいね。
実際にこの刀で戦っていたんだ!と、ドキドキしながらみていました。
そして、今回の展示では、30点ほどの刀が展示されていますが、
つくられた時代、作られた地域によって、刀の形が微妙に違います!
まずは、平安時代に作られた刀は、細身でスタイリッシュな形です。
平安時代は、天皇が治めていた時代なので、儀式などで身に着けたとき、
かっこよく見えるように作られていました。
そして、鎌倉時代は、幅が広くゴツゴツした刀になります。
武士が使いやすい刀です。
平安時代に作られた刀と見比べてみると、全体的に太く力強い印象を受けます。
鎌倉末期になると、細身の刀が再び流行り、
南北朝時代になると、幅広で長い大きな刀が登場します。
学芸員の澤田さんによりますと、
南北朝時代は、既存の権力が揺らいだ時期で、武士たちは自分の武が強いことをアピールしようと、迫力ある大きな剣が流行ったのでは?ということです。
また、平安時代から室町時代前期までは、馬に乗って戦っていたので、
刃を下にしてぶら下げて身に着ける「太刀」という刀が主流でした。
ただ、鉄砲が登場して、歩兵戦になると刃を上にして腰帯に差して身に着ける「打ち刀」に一般的になりました。
そして、京都で作られた刀は、刀の中心で反り、
現在の岡山、備前で作られたのは刀の手元で曲がる作りになっています。
時代によって、作った地域によって刀の形が少しずつ違いますので
じっくり観察してみてくださいね!
このほかにも、鎧や兜なども見ることができます。
刀の世界、本当に面白かったです。
今まで知らなかった日本の歴史が、刀を通して少し知ることができました。
刀は武器としてだけではなく、いろいろな場面で役立ち、
時代背景を表しているんだなぁと感じました。
ぜひ、みなさんも「刀の世界」に触れてみてはいかがでしょうか。
今日は、秋水美術館をご紹介しました!
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秋水美術館
開館時間 午前10時から午後5時まで
(最終入館は、午後16時30分まで)
休館日 月曜日、火曜日
入館料 一般800円、高校生300円、中学生以下は無料
企画展示 「徳川家大名家の宝刀」は、9月3日(日)まで
秋水美術館のHPは、コチラ。
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