魚津の蜃気楼
2023年5月22日
突然ですが、この時期に見られる富山の景色と言えば何を思い浮かべますか~?
雪の大谷や、黒部峡谷の新緑などいろいろありますが、
蜃気楼もこの季節ですよね!
今年、みなさんは蜃気楼ご覧になりましたか。
ということで先週のSTEP!では、蜃気楼についてご紹介しました。
魚津埋没林博物館の学芸員 佐藤真樹さんにいろいろ教えていただきました!
まず、蜃気楼ときいて、どんなイメージを持ちますか?
蜃気楼になじみがない方は、「普段見たことがないものが見える」「はかない」というイメージを持つ方が多いと思います。
私も、富山に来る前は同じように思っていました。
蜃気楼は、虹と同じ気象現象の一つです。
大気中の温度差によって、光の屈折がおこり、
遠くに見える景色が実際とは違う形に見える現象です。
温度差で見えかたが変わるの不思議ですよね。
大気中に、温度差がないと光はまっすぐすすみます。
なので、いつもは、実際の風景だけが見えています。
ただ、温度差があると、光の進む方向が変わるので、
景色が伸びたり、反転した像が見えます。
ここで、一つ注意してほしいのは、
蜃気楼が見えていても、普段見えている実際の景色も見えているということ!
曲がっている光もあれば、いつも通り直線的に進む光もあるので、
いつもの景色+伸びたり反転した景色が見えるとのことでした!
蜃気楼には、主に2つ種類があります。
一つは上位蜃気楼です。
富山では、春の蜃気楼とも呼ばれています。
上位蜃気楼は海面近くの気温が低く、上空が暖かい空気の時に起こる、珍しい現象です。
景色が伸びたり、上側に反転したりしますよ!
魚津では、3月下旬から6月上旬にかけて見られます。
平均、1年に20日ほど、近年は30日前後観測されるそうです。
そして、もう一つが下位蜃気楼です。
海面近くが暖かく、上空が冷たい空気の時に起こります。
下位蜃気楼は、下側に反転し、景色が浮き上がったように見えます
気温の低い朝などを中心に一年を通して観測することができます。
そして、なぜ魚津で蜃気楼が有名になったのか!
魚津は加賀藩主の宿泊場所になっており、
昔から蜃気楼が楽しまれていました。
記録では、江戸時代1669年の文献に蜃気楼のことがでてくるそうです。
そのあとも、継続的に蜃気楼が観察されたことで、
全国的に有名になりました。
今も、上位蜃気楼がでているときは魚津市の海岸にたくさんの人が集まりますよ。
詳しくは、魚津埋没林博物館で学んでみてくださいね。
蜃気楼について勉強すると、実際に見てみたくなりますよね。
ここからは、この時期に見ることができる「上位蜃気楼」の観察方法についてご紹介します。
まずは、蜃気楼が見える可能性が高い日を調べましょう!
魚津埋没林博物館のサイトから、
蜃気楼出現予測をみることができます。
0%は見える可能性なし、10%から30%は可能性は小さい、40%~60%は可能性はある、
70%は可能性は大きいという指標になっています。
学芸員の佐藤さんによると、
40%を超えると見える確率がかなり高くなるそうです。
魚津の海岸沿いから蜃気楼が良く見えるのは、黒部の生地灯台方面、富山市岩瀬方面、射水市新湊方面です。
(富山市岩瀬方面)
(黒部市生地灯台方向)
*写真は、通常の風景です。蜃気楼は出ていません。
魚津埋没林博物館のサイトでは、ライブカメラで黒部方面、岩瀬方面、新湊方面をリアルタイムの映像も確認できますよ!
そして、蜃気楼は遠くにみえること、
また縦の変化が小さいので、肉眼で観察するのはかなり難しいです。
見に行くときは、
7倍から10倍の双眼鏡や、家庭用のビデオカメラがあるといいですよ。
また、蜃気楼の観察が初めてという方は、
海の駅蜃気楼の近くの海岸沿いにいる「蜃気楼みさせ隊」の方に話しかけてみてくださいね。
緑のビブスをきている方です。
蜃気楼みさせ隊の方々は、「その名の通り蜃気楼を見てほしい!」と、「ここにでているよ!」と教えてくれます。
蜃気楼が出ていないときも、観察のポイントなどを教えてもらえますよ。
基本的に毎日、いらっしゃるそうです!
そして、蜃気楼にもランクがあります。
5段階に分かれています。
一番下のランクのEと次のⅮランクの観察には、十分な知識をもち、双眼鏡などが必要。
Cランクになると、双眼鏡なしでも、半数の人がわかる。
Bランクは、双眼鏡を持たない人でもほとんどの人が分かる
Aランクは、双眼鏡を持たない人でも満足できる蜃気楼。です。
Aランクになると、長い間、鮮明な蜃気楼が楽しめるそうです。
Bランク一年に1回程度、Aランクは2018年以来ありません。
かなりレアですよね。今年は、4月に一度Bランクが観測されました。
また、魚津市のしんきろう通信に登録すると、蜃気楼がでたタイミングでメールでお知らせしてくれますよ~!
なかなか蜃気楼が出ているときに見に行くことができないという方は、写真で楽しんでみてはいかがでしょうか。
現在、魚津埋没林博物館で「蜃気楼写真展」開催中です。
魚津蜃気楼研究会一押しの作品がそろっています。6月30日までです。
蜃気楼について勉強すると、やっぱり見てみたくなりました。
取材に行った後に、海岸沿いに行ってみましたがその日は残念ながら見えず・・・
また、蜃気楼がでる確率が高い日に、双眼鏡を持って行ってみようと思います。
魚津だけではなく、富山県内の海岸沿いから蜃気楼が見えることもあるそうなので、
魚津まで行くのが大変という方は、お近くの海岸沿いに行ってみてくださいね!
今日は、魚津の蜃気楼についてご紹介しました。
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魚津埋没林博物館
開館時間 午前9時から午後5時まで
休館日 11月30日までなし
入館料 大人 640円 小中学生 210円
魚津水族館との共通券あり。
蜃気楼写真展 6月30日まで
詳しくは、HPをご確認ください。
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