「植物標本庫 ハーバリウム立山」
2022年8月15日
お盆休みも終盤となりましたね。
お盆期間、いかがお過ごしでしょうか。
先週のSTEP!では、立山カルデラ砂防博物館の企画展「植物標本庫 ハーバリウム立山」をご紹介しました。
学芸員の白石敏明さんに、
立山の自然について教えていただきました!
まず、ハーバリウムという単語を聴いて、
リスナーの皆さんは、何を思い浮かべますか?
小瓶にドライフラワーをいれて、オイル漬けにしたインテリアを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
私も、インテリアのハーバリウムを思い浮かべました。
本来の意味としては、様々な植物の標本や、保管する植物標本庫のことを、
ハーバリウムと言うそうです。
そして、独自の進化や適応を遂げてきた立山の自然は、まさに「生きた標本庫」、ハーバリウム立山です。
立山の自然の魅力がギュッと詰まった展示となっています。
カルデラ砂防博物館に入って、すぐ見えてくるのが、瓶に詰められた立山の植物です。
インテリアのハーバリウムでの展示です!
一般的な押し花の標本とちがって、立体的に観察することができます!
標高500Mほどの植物、約70点を見ることができます!
白石さんに教えてもらって印象的なお話だったのは、
真っ赤な実がなるガマズミです!
真っ赤な色は、リスなどの動物や鳥に発見してもらいやすくするためだそうです!
人間も青い実の果物より、熟した赤い実を食べますよね!
人間も、自然界の一部なんだなぁと実感しました。
そして、ハーバリウムの展示のほかに、山地帯、亜高山帯、高山帯、崩壊地のエリアごとにわけて、展示しています。
立山カルデラの崩壊地の植物について紹介しましょう。
まず、立山カルデラは、東西6.5キロ、南北4.5キロ、標高差700Mから1500Mの大きな窪地です。
立山火山の浸食によってできたカルデラです。
立山カルデラの一部では、土砂崩れや土石流によってできた荒地=崩壊地があります。
この崩壊地には、ドロノキやオオバヤナギなどの荒地でも生き残ることができる植物が育ちます。
大きい木になると、20Mほどの大きさになります!
そして、7月中旬から下旬ごろにヤナギの種子の綿毛が飛散します!
立山カルデラ砂防博物館周辺も、綿毛が舞います。
空中をふわふわ漂い、一センチから2センチほど、積もるそうです!
今回の展示では、オオバヤナギの綿毛舞う様子を観察できます!
直径30センチから50センチほどの、透明ドームの中に、
綿毛が入っていて、ポンプで空気を送るとドームの中をフワフワと漂います!
ぜひ、ポンプを10回ほどおして、観察してみてくださいね!
また、亜高山帯には、オオシラビソやダケカンバなど、雪の多い地域や雪の下でも生きていける植物が育ちます。
雪って、どんなイメージがありますか?
一般的には、冷たい、過酷な環境と思いがちですが、
雪の中は、あったかいそうなんです!
あったかいので、木にとってもありがたい環境なんですが、
木や植物だけじゃなく、雑菌も過ごしやすい環境なんだそうです。
1年の8か月近く雪がある亜高山帯では、
雪の重みで倒れても元通りになったり、
曲がったままでも生きて行けたり、
あとは雑菌に強い植物が生き残ります!
そして、一年の大半を雪で過ごすので、とっても成長がゆっくりです。
樹齢は、年輪で分かるといいますよね!
実際に、オオシラビソの断面が展示されています!
展示されているオオシラビソは、樹齢300年ほどで、幹は50センチほどになります!
等間隔に成長しているのかなぁと思いきや、わずか幹の中心2センチの中に、
50本の年輪がはいっているそうなんです!
50年かけて、2センチの幹にしか成長しないってびっくりですよね!
ぜひ、お時間ある方は、展示されているオオシラビソの年輪を数えてみてください!
私は、諦めました(笑)
今紹介したほかにも、立山でいきる植物や動物について、知ることができます。
植物と動物の関係、そして自然のサイクル、森の様々な植物の匂いも紹介されています!
展示でみた植物を、登山中にみかけたら、より一層楽しむことができそうですよね!
ぜひ、立山登山をする前に、
立山カルデラ砂防博物館の企画展示「植物標本庫 ハーバリウム立山」で、
植物について知識を深めてみてはいかがでしょうか。
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立山カルデラ砂防博物館
開館時間 8月中は、9時00から17時まで
(通常は、9時半から17時)
休館日 HPをご確認ください
入場料 企画展は無料
常設展の一部エリアは有料
有料エリアは一般400円 大学生以下 無料
企画展 植物標本庫 ハーバリウム立山 9月25日まで
*詳しくは、HPをご確認ください
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