8月30日 gra書
2011年8月30日
今月は、かなについてご紹介しています。
先週は、かな文字を臨書する方法についてご紹介しました。
今週は、これを応用して、一筆書いてみましょう。
一筆書くというのは、封書の手紙より短く、ハガキよりも細かくなく、ちょっと一言添えるということです。
この場合、便箋ではなく、「一筆箋」という紙がありまして、ここに書いていきます。
大きさは、長さは便箋とほぼ同じで、幅が便箋の3分の1くらいです。
この「一筆箋」に、筆でサラサラっと一言書いてみましょう。
まず、一筆箋に書くときですが、普通の手紙のように時候の挨拶を書くスペースがないので、伝えたい内容を簡潔に書いて、そのあとに、書いた日付、差出人の名前、相手の名前を書く、というのが一般的な形です。
もし余裕があれば、文章の最後に「草々」と添えるのもいいですね。
さて、実際に書きます。
文章の初めは、一筆箋の右上から書いていきます。手紙を書く要領と同じです。
ただし、手紙を書くときと違うところがあります。
紙の上から下までびっしり書かなくてはいけない、ということはないということです。
たとえば、文章の切れ目が、紙の真ん中のところだったとしても、その続きは行を替えて書いても問題ありません。
また、これは目上の人に送る場合なのですが、相手の名前や重要なキーワードが、書いているとどうしても行の一番下に書かざるを得ない、ということがあるかと思います。
その時は、思い切って行を替えて、相手の名前や重要なキーワードを上に書くようにします。
こうすることによって、相手を立てる、という意味も持たせています。そしてもう1つ、文章の中に自分の名前を上に書かざるを得なくなったという場合、この場合はめったにないかと思いますが、紙の上の方ではなくなるべく下の方に書いて、しかも、墨の濃さを薄くして書くと、自分自身へりくだっているという意味を持たせます。
そして書くときですが、1文字1文字単体で書くことはもちろん大切ですが、もし可能であれば、2、3文字続けて書く「連綿」にも挑戦してみてください。
ある程度続けて書けそうな文字というのがありますので、これをポイントにして書いてみてください。
連綿ができそうな文字は、「し」、「ま」、「あ」、「の」、「う」、「と」、「く」、「て」、「ら」などです。
ためしに自分で書いてみて、連綿でスムーズに行けるかどうかチェックすると、失敗なく書けるかと思います。
この日付は、行を替えて書くのが手紙を書く際の正式な書き方ですが、一筆箋の場合、スペースが限られているので、無理に業を替えずに、文章の後に続けて書いても大丈夫です。
次に、差出人の名前、自分の名前ですね。
これは、紙の下の部分に、あまり大きくない文字で書きます。
そして最後は、相手の名前です。
これは、紙の左上の方に大きめの文字ではっきりと書いてください。
かりに、相手の名前を紙の左上に書く余裕がない場合は、文章を書く前に紙の右上に相手の名前を書くという方法もあります。
この一筆書くというのは、なかなか慣れないかもしれませんが、ある程度コツがつかめてくると、ちょっとした心添えとして書くことができるので、相手にいい印象を与えることもできますよ。
その場合は、書く文字はもちろん、書く紙にもこだわってみると、優雅さもプラスされるかと思います。