8月9日 gra書
2011年8月9日
今月は、かなについてご紹介しています。
先週は、かな文字についてご紹介しました。
書道で扱っているかな文字は、ひらがなに加えて、変体仮名も使われていることをお話ししました。
今週は、実際に仮名文字を書いてみたいと思います。
まず、用意するのは、小筆、墨、かな用の半紙といったところです。
小筆は先月からお話ししましたが、あまり値段は高くなくてもいいのですが、筆先がしっかり三角になっているかどうかを確認してください。墨は、墨汁ではなく、固形の墨を磨って使います。
かな文字の場合は、墨の量が多くないので、手で磨った墨の方が、あとで濃さの調整も楽です。
そして、かな用の半紙、これは、書道用品店で売られているので、お店に行って確認してみてください。普通の半紙よりも墨を吸わない加工がされています。
もしかな文字用の半紙が間に合わないという場合は、チラシの裏側の白い部分、それもないという場合でしたら、普通のコピー用紙でも一応書くことはできます。表面がつるつるしていれば、小筆の動きがつかめるかと思います。
では、実際に書きます。
まず、ご自分の思う通りにひらがなの文字を書いてみてください。
書いてみていかがでしょうか。どうもしっくりこないと感じる方が多いかと思います。
私たちがふだん目にする活字体のかな文字は、見やすさ、読みやすさを考慮して作られているので、筆で書こうとすると、不自然な筆の動きをしなくてはならなくなります。
やはりかな文字の場合、先月お話しした漢字と同様、お手本となる本を見ながら書いていくのが望ましいのですが、先月小筆で文字を書くときにお話ししたように、どの本をお手本にすればいいのかが難しいです。
そこで、これも、書家の先生方には怒られるかもしれませんが、本格的な仮名文字を書く前に、字を美しく書く、基本の部分を押さえるという意味で、この方法を取ってみてはいかがでしょうか、というものをご紹介します。
先月小筆で字を書く方法をお話ししたのを聞いた方は、察しが付くかと思います。そうです、今回もパソコンを使います。
パソコンの文章作成ソフトを開いてください。
縦書きの設定にして、大きめの文字で「いろはにほへとちりぬるを…」と打ち込んでください。
打ち込み終わったら、文字のフォントを変換します。
フォントは「行書体」に変えてください。
行書体になった文字を印刷してください。
印刷された紙が、かな文字の基本の基本のお手本代わりになりますので、これを使って、まずは美しくかな文字を書いてみてください。
なぜここで「行書体」に変えてくださいとお話ししたかといいますと、行書体というのは、いわゆる崩し字ですね。これにすると、文字の形に加えて筆の動きも見えてきます。
たとえば、「と」の場合、1画目と2画目の間こんなふうに筆が動くんですよ、という細いつなぎの線が書かれています。
また「た」の場合、2画目の左斜めの線から3画目の点にむけてこんなうに筆が動きますよ、というつなぎの細い線がやはり書かれています。
ですので、「行書体」にすると、より筆文字に近い文字を見ることができて、書くときの参考になりやすいということなんです。
ただし、この行書体のかな文字はあくまでも基本の基本なので、これがそのまま書道のかな文字とし使えるかというと、決してそうではないということを1つ付け加えておきます。
来週は、その本格的な書道のかな文字を見てみます。