8月2日 gra書
2011年8月2日
先月は、小筆で字を書くときのポイントをご紹介しました。
今月は、この小筆で書く書道、かなについてご紹介したいと思います。
このコーナーがスタートしてここまでは、おもに漢字を書く書道を中心にお話ししました。
「永字八法」も漢字ですし、転折やはね、はらいも漢字の要素ですね。今回は、かなです。
かなは、皆さんもご存知の通り、ひらがなとカタカナがあります。
おもに書道で扱っているかなは、このうちのひらがなです。
平仮名は、以前国語の授業で習ったかと思いますが、漢字をくずしてできた文字です。
おもに漢字の草書から生まれたとされています。
たとえば、ひらがなの「あ」は、値段が安いの「安い」という文字から生まれました。
ひらがなの「い」は、1000円以上の「以」が元となっています。
今使われている平仮名は、万葉仮名が起源とされています。
万葉仮名は、文字の読み方を元に漢字を並べて日本語の文章に使った文字を指します。
万葉仮名を使ったものでいいますと、富山市にある姉倉比賣神社(あねくらひめじんじゃ)がこれに当たりますね。姉に倉、倉庫の倉と書く文字です、に、ひ、比べるという字です、めは売るという文字の古い字体を書きます。こう書いて姉倉比賣と読みます。
このうち、比べるの「ひ」と売るの「め」が万葉仮名です。
なんでこのような字を書いているかといいますと、この神社、富山市の旧大沢野町の寺家公園の中にあるんですが、この神社に祭られているのが、紀元前30年ころに寺家公園一帯を治めていた姉倉比賣ということで、そのままの名前がつけられているということなんです。
ずいぶん話がそれました、かな文字に話を戻します。
平仮名は、万葉仮名から数えると、漢字ほどではありませんが、長い歴史を持っています。
ですが、今私たちが使っている平仮名は、1900年(明治33)年に小学校令施行規則が改正されたときに提示された48文字で、たかだか100年ちょっとの歴史しかありません。
その前はどうだったかといいますと、今使われている平仮名に加えて、変体仮名が使われていました。
変体と言っても、いやらしい人に使う「変態」とは違って、変化の変に体と書きます。
今使われている平仮名とは形が違うかな文字、という意味です。
たとえば、ひらがなの「あ」は、安いという文字だけでなく、阿部真央さんの阿も使われていましたし、
ひらがなの「か」は、加えるという文字だけでなく、可能の可も使われていました。
他には、「多い」という漢字をくずしたものを「た」と読ませたり、
様々な変体仮名がありました。
こういった変体仮名も書道のかな文字にはバンバン出てきます。
ですので、かな文字を読むのは、ちょっと苦労します。
変体仮名の一覧表がネットに載っていたりするので、興味のある方は探してみてください。
なお、変体仮名だけで何百文字とあるので、全部を探すのは骨が折れるという事だけは申し上げておきます。
次回は、実際に仮名文字を書いてみます。