7月5日 gra書
2011年7月5日
先月は、書道の作品を見るということで、理論的な話が多かったので、今週は、再び書く話に戻ります。
このコーナーがスタートしてすぐのころは、半紙で文字を書くときのポイントについてご紹介しましたが、
今週は、半紙よりももっと皆さんが身近に接する、小筆、
これで文字を書くときのポイントについてお話します。
小筆で文字を書くときはどんな時か。
まず思い当たるのが、冠婚葬祭の時の芳名。受付で芳名帳に名前を書くときですね。
それから、ご祝儀袋や香典袋に名前を書くときもそうです。
あと、年賀状を書くときもそうですね。
そう考えますと、小筆で文字を書くときは、自分の名前や住所を書くケースが多いということが言えますね。
では、実際に書く準備をしましょう。
受付で名前を書くときはすでに筆や墨などが用意されているので書くだけで結構ですが、
祝儀袋や香典袋、年賀状など、自分で準備して書く場合、次のものを用意します。
まず、小筆。これは、いろんなところで売られています。
書道用品店はもちろん、デパートやスーパー、ホームセンターなど大概のお店にはあります。
ただし、小筆と言っても種類も様々値段も様々で、どれを買えばいいのか、難しいです。
値段はさほど高くなくても結構です。書いていくうちに、どうしてもという場合は、
ちょっと値の張るものも見てみるものいいと思います。
値段以外で、小筆を選ぶうえで、これは覚えておきたいポイントを1つ。
筆の先っちょを見てください。
小筆は、小さい文字を書くので、先っちょのつくつくのところがきちんとしていないと、
文字のはねやはらいの部分がキレイに書けなくなります。
それこそたった1本の毛で文字の良しあしを決定づけることがあるくらいです。
以前、展覧会で小さな仮名文字の作品を見るポイントとして、線の書き終わりの部分を見てください、とお話ししました。
線の書き終わりが美しい線になっているかどうかは、筆の先がキレイにまとまっているかどうかで決まります。
ですので、筆の先を見て、毛が1本ぴょんと跳ねあがっていたり、
きれいな三角形ではなく、ペンキのハケのように平たい状態になっているものは避けるようにしましょう。
筆は1本1本違うので、先の部分をよく見て選ぶことが大切です。
左から、1本だけ毛がぴょんととび出ているもの、先がハケのように扇形に広がっているもの、きちんと先が整ったものです。
次に、墨です。
小筆で文字を書く場合、字がにじまないように半紙で文字を書くときよりも濃い墨を使うといいでしょう。
濃い墨は、「濃墨」や「超濃墨」とラベルなどに書かれている墨汁を使うという方法もありますが、小筆の場合は、固形の墨をすって濃い墨をつくるというのが一般的です。
使う墨の量も少ないので、固形の墨をほんのしばらくするだけで、小筆で字を書くのに十分な量の墨を用意することができます。
ということで、墨をするうえで硯も欠かせません。
普通の筆で書くときの大きさの硯とは別に、小筆用の小さな硯があります。
これもあちこちで売られているので、1つ1つ見て、ご自分のお気に入りを手にするのもいいかもしれません。
硯も種類、値段ともに様々ですが、お手頃なモノで十分です。
どうしてもいいものがほしいという方は、書道用品店で、じっくり選んでみてください。
そして、書くものです。ハガキだったり袋だったりですね。
どうしても汚れるのが心配な方は、半紙で字を書くときに使う下敷きがあればなおよいでしょう。
次回は、実際に小筆で字を書くときのポイントをお話します。