4月12日 gra書
2011年4月12日
先週からスタートしたこのコーナー「gra書(グレイショ)」、高校(書道)の教員免許を持つ私今井が、書道の「いろは」からご紹介していきます。
先週は初回ということで、書道はどのような流れを経て今に至っているのか、という概略の部分をさらっと紹介しました。
2回目の今週は、実際に、じゃあ、書いてみましょう。
といっても、道具も何もないから書けない、ですよね。では、シミュレーションしてみましょう。つまり、本当の書道のように筆と紙を持って書くのではなく、別の方法で、筆で文字を描くのに近い感覚を体験してみましょう。
まず、紙を用意します。といっても、半紙ではありません。A4サイズの紙、裏紙でもOKです。もしくは、チラシの裏側でもかまいません。とりあえず、何も書かれていない普通の紙があれば大丈夫です。
次に、太めのペンを用意します。ペンがない方は、鉛筆、ないしはマジックでもいいです。準備するのはこれだけです。
ではまいりましょう。
紙にペンで字を書いていくのです。が、普通に字を書くように書いてはいけません。それではシミュレーションになりません。
最初に、ペンを普通に持ってください。この時ペンを持った手の手首がテーブルや机の上についている状態かと思います。
この状態から手首を浮かせて、手が完全に宙に浮いている状態にしてください。
この状態が、実際に筆を持ったときの手の状態に近いものとなります。
その状態で、紙に、漢数字の「三」を大きく書いてみてください。
手首が宙に浮いている状態なので、ひじや肩を使って字を書かなくてはいけなくなります。この動きが、ほぼ筆で字を書くときの動きになります。といっても、これはあくまでも基本です。半紙に筆で字を書くときの動きがだいたいこの感じだと思ってください。
次に、今書いた「三」に、まっすぐ縦の線を書いてみてください。
これも、ひじや肩を使って書かなくてはいけないので、普段の文字を大きく書くようにさっとは書けないと思います。多少ゆっくりになってもかまいません。
今度は、樹木の「木」のように、左はらいと右はらいを書いてみてください。
どうしてもゆっくりと書かざるを得ないかと思いますが、これが筆で字を書くときの基本的な動きになります。
これが、たとえば、もっと大きな字を書く場合は、椅子に座って、ではなく、紙の上に乗って同じ動きをすることもありますし、逆に小さな字を書くときは、小さな筆に持ち替えて、やはり同じ動きを行います。
なお、実際に筆で字を書くときは、さらに細かい動きが必要になりますが、それはまた次の機会にお話ししたいと思います。