★☆★★☆★ 6月7日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3月曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 係長 朝加昌良さんのオススメ本です!
◎今回は、ラジオ番組を題材にした小説があったので、ご紹介したいと思います。
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★ 『リミット』五十嵐貴久 祥伝社 1680円
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・帯にはこう書かれています。「この放送が終わったら、リスナーが一人死ぬ − 」
これだけ聞くとホラーか何かのようですが、そうではありません。
・番組あての手紙やメール、こういったものはたくさん届くものと思いますが、
その中に 変なメールが来ていることを係が発見することから物語が始まります。
・そこに書かれているのは概ねこういった内容。
「つらいことばかりで、この番組だけが心の支えだったがもう限界、今日この番組を聴き終えたら死のうと思う」
・・・つまり自殺予告のメールです。
・いたずらなのか本気なのか。ラジオ局としては当然対応に困ります。番組が始まるまで数時間。
またその番組というのが(オールナイト・ニッポンならぬオールナイト・ジャパンという深夜放送)
ちょっと毒のあるお笑い芸人がパーソナリティを務める番組ということもあり、ますます扱いが困難になります。
・ストーリーの主人公役になるのはディレクターの安岡という男性。
実はこの人物、息子を自殺で亡くしていることもあり、このメールが本当の訴えであるとはじめから考え、行動します。
・そしてついに番組は始まってしまいます。番組終了までにこのメールの主を見つけ出し、説得しようと試みるスタッフたち。
さて、結果はいかに!?
・なんといってもタイトルどおり、リミットが限られている状態なので物語がぐんぐんと動いてゆきます。
放送を通じての駆け引き、このメールの主の考えや行動の推理
・・・そして最後にはちょっと熱い展開もあったりして、途中からは一気読みしてしまうと思います。
・ラジオ番組の舞台としてはそう詳しいわけではないと思うのですが、
「いかにも」な舞台として上手く作り上げるのはこの著者ならではの技。
著者の五十嵐貴久さんは非常に幅広いジャンルのエンターテイメント作品を描かれています。
現代サスペンスものだけでなく時代物もあれば、
高校生の青春もの(『1985年の奇跡』という作品は
おニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」が感動的に使われるという快作)もあります。
中には既存の映画を発想のスタートにして作り上げている作品も多いためか、非常に映像的な作品が多いように思えます。
『交渉人』『パパとムスメの七日間』といった作品は実際映像化されていますね。
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★紀伊国屋書店富山店からのお知らせ★
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<フジ子・ヘミング版画展開催中 >
店内中央Aカウンター横にて。
ピアニストとして有名なフジコ・ヘミングですが絵画の方面でもかなりの作品があり、ファンも多いです。
今回はその版画作品20点ほどを展示・販売しております。
あまり無い機会とは思いますので、ぜひ一度ご覧下さい。
◆紀伊国屋書店富山店 場所は、富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号 076-491-7031 営業時間 10:00〜20:00
・6月の定休日は9日、23日の水曜日。
◎6月7日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます!
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