★☆★★☆★ 9月16日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3水曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 奥野晃英さん からオススメの本をご紹介頂きます。
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本日は、読書の秋の始まりにふさわしい骨太のミステリーと
話題のエッセイの合わせて2点をご紹介します。
一冊目は、帚木 蓬生(ははきぎほうせい)さんの『悲素(ひそ)』です。
地域の夏祭りで出された飲食物を食べた住民たちが、次々と体の不調を訴え始める。
当初は、食中毒と思われたが、主人公、毒物の専門医、沢井はヒ素中毒と確信。
県警や大学病院内のエキスパートたちと協力し、捜査を進めていく…というのがあらすじです。
標題の「悲しい元素」と書いて「ヒソ」、
また、夏祭りでの食事、でピンとくる方もいらっしゃるかと思いますが、
この小説は実際に起きた事件とその捜査過程を再構築なさった作品です。
帚木さんは、現役の医者としての顔ももってらっしゃる異色の作家さんです。
その鋭い視点で、この悲しい事件を精微に厳密に描いてらっしゃいます。
実際の裁判では、動機に関しては「不明」とされたそうですが、
この作品では一つの「回答」を用意して下さっているのも
現役医師としての帚木さんのだからこそではないでしょうか。
命に直に携わる著者が怒りと鎮魂の気持ちで書き上げたという本作、
秋の夜長にじっくり読み進めてみてはいかがでしょうか。
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二作目は、全世界待望と言ってもいい
村上春樹さんのエッセイ「職業としての小説家」。
何かと話題になっている本作品ですが、さる9月10日ついに発売いたしました。
自伝的な内容も含むエッセイということで、
ご自身の初めての小説である『風の歌を聴け』を執筆した前後の出来事も詳しく描かれています。
今や世界的小説家になった村上春樹さんですが、
そのルーツはどこにあるのか、その才能に関してご自身はどう考えているのか、
など赤裸々に語りかけて下さる内容になっています。
気付けば今年も9月になり、そろそろノーベル賞の声も聞こえてきますが、
それに合わせて大本命の一人村上春樹さんの話題も多くなって来るでしょう。
読んだ方もこれから読まれる方も、村上ワールドの原点に触れてみてはどうでしょうか。
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紀伊国屋書店富山店
住所: 富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
HP http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/
※店休日 年内、お休みはありません。
◎ 9月16日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます。
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