【芥川賞】
戌井昭人「ひっ」(新潮6月号)
★受賞作★ 鹿島田真希「冥土めぐり」(文芸春号)
鈴木善徳「河童(かっぱ)日誌」(文学界5月号)
舞城王太郎「短篇(たんぺん)五芒星(ごぼうせい)」(群像3月号)
山下澄人「ギッちょん」(文学界6月号)
【直木賞】
朝井リョウ「もういちど生まれる」(幻冬舎)
★受賞作★ 辻村深月「鍵のない夢を見る」(文芸春秋)
貫井徳郎「新月譚」(文芸春秋)
原田マハ「楽園のカンヴァス」(新潮社)
宮内悠介「盤上の夜」(東京創元社)
***
◎今週のおすすめはコチラ
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
★ 『きみはいい子』(ポプラ社・中脇初枝)
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
今回おすすめする作品は『きみはいい子』(ポプラ社・中脇初枝)です。
発売前から一部の書店員たちの熱い応援を受け、
ついに6月30日にはTBS「王様のブランチ」で紹介され、一気にブレイクした『きみはいい子』。
どこにでもあるような新興住宅地を舞台に、
子供たちとその周囲にいる大人の姿を描いた5篇の連作短篇集です。
テーマは、「児童虐待」。
夕方5時までは家に入れてもらえず、雨の日もうさぎ小屋の前で校舎の時計を見上げる小学生。
娘につい手をあげてしまう、虐待された過去をもつ母親。
継母にごはんを食べさせてもらえない少年。
離婚し子供を持たないまま一人で暮らす老年の女性とある親子。
過去に自分を虐待した、年老いた母を預かる娘。
淡々とした筆致で、日常を描くように、悲しい現実に晒される、
また晒された子供や大人を浮かび上がらせたこの作品は、心温まる救いを用意してはくれません。
ですが、この作品を読んだあと、絶望していない自分がいるんですね。
目の前に辛い現実を見せつけられるんだけれども、何か自分にも出来ることがあるのではないか。
そう思えるんですね。
・・・
福井県在住で、今年本屋大賞にもノミネートされた作家の 宮下奈都 さんが、
この作品に寄せられた書評の中で、
「痛めつけられて傷ついた人のために、やさしさに少しだけ強さを掛けて、立ち上がれ。
そう自分を鼓舞したくなる。
世界を救うことはできなくても、目の前の誰かひとりを救うことは、もしかしたらできるのかもしれない。」
とおっしゃっていて、まさしく、たとえ自分に子供がいなくても、
もしもそこに辛い現実を抱えた子供がいるのなら手を差し伸べよう、そういう勇気をくれる作品なんです。
重いテーマの作品ですが、間違いなく今年を代表する一作だと思います。
幅広いお客様に、手に取っていただきたいと思います。
・・・
また、今回、なんと、著者の 中脇初枝 さんより、
graceキノコレリスナーの皆様へメッセージをいただきました。
「富山にお住まいの皆様へ
どこの町でも、
だれのところでも、
おこりうる問題について、書きました。
たくさんのかたに読んでいただいて、あなたはいい子、わたしもいい子、
そんな思いがひろがっていくことを願っています。
中脇初枝」
この作品をお客様に届けることで、
もしかしたら間接的にでもどこかの誰かを救うことが出来ているのかもしれない。
これからも、祈りを込めるような気持ちで、おすすめしていきたい一冊です。
***
<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>
・児童書売り場で、「自由研究フェア」がスタート
・雑誌売り場では、人気のオシャレ総合生活誌のバックナンバーフェアを開催中!
対象雑誌 : ブルータス、Pen、カーサ ブルータス
※7月末まで開催予定
・実用書売り場では、話題の「50℃洗い」関連商品を入荷しています。
***
紀伊国屋書店富山店
住所: 富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
HP http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/
※店休日 7月のお休みはありません。
◎7月18日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます!