1月17日、第146回直木賞受賞の作品です。


◆物語の中心人物：元郡奉行・戸田秋谷（とだしゅうこく）。

優秀で清廉な人格者でありながら不祥事を起こしたとの事で、切腹を命じられる。

藩主の家譜の編纂（家系の系譜と代々の歴史を調べ記録に残す作業）中であったため、
藩にとって大変重要なこの作業を終了させることを条件に、切腹の十年の延期が認められる。

家族とともに山奥の村に幽閉され、作業をこなしながら、七年が経過し、残り三年。


◆主人公：奥祐筆・檀野庄三郎（だんのしょうざぶろう）。

城中で刃傷沙汰に及び、切腹を命じられるところを免れ、その代わりに秋谷の作業の補助と監視を命じられる。

秋谷の不祥事にまつわる謎。
命を区切られてもなお凛とした秋谷の人柄。
秋谷の家族の互いを思いやる気持ち。
貧しさ、身分の格差から見えてくる村人の現状。
それらに触れ、庄三郎の生き方・考え方も変化していく。

◆「蜩ノ記」：夏に鳴く蜩は、秋の気配が近づくと夏が終るのが悲しいかのような鳴き方をする。
                     来る日一日を懸命に生きようとする秋谷が書いている日記。

武士の生き方、村人の生き方、親としての、友人としての生き方。
登場人物全ての生き方から、その時代の人々の「生（死）・命」への向かい方がリアルに見えてきます。

「生き方」がテーマに感じられました。

度々直木賞にノミネートされていた著者が今作でついに受賞。
以前の候補作を含め、「揺るぎない凛とした」作風と注目を集める著者の作品群の中でも
代表作となるだろ今作は、受賞前からも、
「心をふるわす傑作」、「感涙の時代小説」と評されています。



-----------------------------------------------------------------
★紀伊国屋書店富山店からのお知らせ★
-----------------------------------------------------------------

◎キノベス！2012展開中。

⇒　http://booklog.kinokuniya.co.jp/kinobest2012/



◆紀伊国屋書店富山店　
　　
　場所は、富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F 　　
　電話番号　 076-491-7031   営業時間 10：00〜20：00 　

※店休日　2月22日（水）


◎2月1日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます！