★☆★★☆★ 7月6日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3水曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 係長 朝加昌良さんのオススメ本です!
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★ 『ジェノサイド』 高野和明 角川書店
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・エンターテイメントとしては今年上半期では一番の呼び声も高い本作。
タイトルを見ておどろおどろしい本のように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
別にホラーなどではありません。いろいろな要素を含んだエンターテイメントだと思います。
・物語はいくつかのパートから成り立っています。それは主に3つに分けられます。
・一つ目、まず冒頭にもあるアメリカ合衆国のトップたちのパート。
大統領はじめ機密事項を討議しています。
アメリカに対する危機を防ぐ、そのために彼らは行動します。
このあたりは謀略小説のような趣もあるでしょう。
・二つ目、傭兵のパート。
傭兵達は何人か出てくるのですが、そのうちの一人を中心に描かれます。
彼には難病に苦しむ子どもがいて、その治療の為にお金を必要としています。
そんな彼の元に特殊な任務の誘いが来る、というのが始まりになります。
・三つ目、日本の大学院生のパート。
彼は同じく研究者である父親を亡くしました。
その亡くなった父親からのメールが届き、そこには不可解なことが書かれていました。
父親は一体何をしていたのか、それを探り始めるところから始まります。
・この一見ばらばらな3つを繋ぐものが「ハイズマン・レポート」と呼ばれるもの。
これはアメリカの研究施設がまとめたレポートで、新しい人類が発生する可能性とそれが及ぼす影響についてまとめたもの。
つまり、それに該当するかもしれない出来事が起こっているという報告を受けたアメリカ合衆国首脳部が
それに対する作戦をうちたて、そのために傭兵達を雇っている、という構図です。
それに日本の研究員はどう関わっているのか…そのあたりが父親がやっていたことと繋がっています。
・新しい人類と、それを排除しようとするアメリカ合衆国。
その対立に二つ目、三つ目のパートがどのような立ち位置で関わってゆくのか。
壮大、かつ先の読めない展開で読ませてくれます。
・帯のコメントの一つに「人を救う話と人を殺す話が絡み合う」というような表現がありますが、
まさにその現象が読み応え部分でしょう(その意味でも、タイトルは誤解を生みそうだなと個人的には思います)。
また内容が、いつかこんなことが起こるかもしれないという近未来SFのようでもあり、
その様々の絡ませ方・練り上げ方が、本ならではの愉しみを生み出していると思いました。
・実は読むと、最初の方が、ややノリがよくないと感じるかもしれません。しかし読み進めてください!
どんどん面白くなってゆくと思いますから。
こんなに分厚いのに最後の方は読み終わるのがもったいなく感じるかもしれません。
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★紀伊国屋書店富山店からのお知らせ★
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<夏の文庫フェア開催中>
夏の風物詩ともいえる夏の文庫100冊、今年もAカウンター横で開催中です。
通常は角川書店、集英社、新潮社の3社ですが
今年はこれに講談社×紀伊國屋書店独自の100冊も加えて、合計4社のフェアとなっております。
<ジグソーパズルフェア開催中>
ジグソーパズルフェア再び開催
今回は人気のワンピースやジブリをはじめとしてミニジグソーを300アイテム強ご用意いたしました。
グランドプラザ出入口側にて展開、期限は今のところ未定です(8月いっぱいは行なう予定です)。
◆紀伊国屋書店富山店
場所は、富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号 076-491-7031 営業時間 10:00〜20:00
・定休日 :・7月の定休日はなし、20日は特招日でお得なポイント2倍デー。
◎7月6日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます!
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