★☆★★☆★ 2月7日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3月曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 係長 朝加昌良さんのオススメ本です!
■本屋大賞候補作決定■
候補作は以下の10点。これら全てを読んだ書店員の投票により大賞決定、4月に発表となります。
◎本屋大賞HP http://www.hontai.or.jp/
以下、候補作タイトル五十音順。
■ 『悪の教典』著/貴志祐介(文藝春秋)
このミス1位、直木賞候補と何度も番組でも取り上げた本作、やはり候補に入ってきました。
■ 『錨を上げよ』著/百田尚樹(講談社)
型破りな「悪たれ」作田又三の、波乱に富んだ生き様。不思議な魅力で読ませます。
■ 『神様のカルテ2』著/夏川草介(小学館)
ご存知地方病院で働く医者、イチさんの物語第2弾。今回も心をほんわかとさせながら、泣かせてくれます。
■ 『キケン』著/有川浩(新潮社)
機械制御研究部略して「キケン」、自分もこの研究部の一員になっているかのように楽しめる青春小説。
■ 『叫びと祈り』著/梓崎優(東京創元社)
高評価を受けた新人のデビュー作である連作短編集。世界を舞台にし、風土や慣習を謎に絡ませる。
■ 『シューマンの指』著/奥泉光(講談社)
とても密度の高いシューマン本としての楽しみと、物語最後のとある仕掛けが読み応え。
■ 『ストーリー・セラー』著/有川浩(新潮社)
有川浩は今回2作のノミネート、詳細は後述いたします。
■ 『謎解きはディナーのあとで』著/東川篤哉(小学館)
お嬢様刑事と毒舌執事のユーモアミステリ、いまだ人気衰えません。
■ 『ふがいない僕は空を見た』著/窪美澄(新潮社)
高校生の性欲に触れつつ、章ごとに登場人物の視点を切り替えその感情を描き、また命の輝きを見せる。
■ 『ペンギン・ハイウェイ』著/森見登美彦(角川書店)
著者には珍しく少年を主人公にした、キュートで、でもちょっとヘンテコな物語。
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★ 『ストーリー・セラー』
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・2月、来週はバレンタインデーという時期柄、また、そういえば恋愛小説の紹介ってしばらく無かったのでは?
ということもあり候補作の中から本作に焦点を当てました。
雑誌ダ・ヴィンチの年間ランキングでも 2010年の恋愛部門第1位に輝いております。
・元々は新潮社の雑誌アンソロジー『Story Seller』vol.1に掲載されていた短編から、この本は生まれました。
そちらに掲載のものがSide:Aとして本作に収録、書き下ろしたSide:Bと合わせての発行という運びになったわけです。
※ちなみにこの新潮社のアンソロジー『Story Seller』、オール読切、人気作家が多数ということで大好評、
雑誌形態で年1回発売し、現在VOL.3まで発刊。それらは全て文庫化もしています。
1巻目は伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、米澤穂信、佐藤友哉、道尾秀介、本田孝好という面子でした。
・収められている2作品は、どちらも小説家の女性と、その旦那さんという組み合わせ。
しかし、Side:A・Bという分け方が表すように、似ているようで逆の設定になっていることがあります。
それが何かといいますと、どちらもこの夫婦の片割れを病気が襲うのですが、
Aでは女性の作家の方が、Bでは男性の方が病を得ます。
この差の部分があるため、読んでいて思わずもう片方もまた確かめたくなります。
・病がわかったとき、彼女・彼らがどうのように向き合うのか、というところが一番の読み応えだったと思います。
相手をどう思いやるのか、またこうしたい、ということをいかにぶつけあうのか。
その2人の関係性が、見ていて胸に迫ると同時に、ああ、こういう恋愛関係っていいものだろうな、とも思えます。
・ちなみに恋のほほえましい部分も書かれているので(有川さんには「ベタ甘恋愛小説」と自ら呼ぶ作品もあるのです)、
いわば甘いも切ないも味わえる恋愛小説として楽しめるのではないでしょうか。
私の周りでは読んで泣いた、という人もいます。
・あと、小説の最後の部分、あとがきのようなものがあるのですが、そこを見てちょっと驚くかもしれません。
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