今週は、紀伊國屋書店富山店 係長 朝加昌良さんのオススメ本です!
◎まずは今の季節らしい話題を2つ。
■ミステリランキング■
12/2に週刊文春にて「文春ミステリーベスト10」が発表されました。
(※12/6より文藝春秋HPにてランキング掲載予定)
http://www.bunshun.co.jp/index.html
・国内1位は『悪の教典』(貴志祐介、文藝春秋)
学校を舞台にサイコ・パスの教師が引き起こす事件。
犯人の心理描写には読んでいてひしひしと怖さを感じるが、妙に引き込まれるのも確か。
上下巻合わせて約850ページの大作。
・海外1位は『ラスト・チャイルド』(ジョン・ハート、早川書房)。
双子の妹が誘拐され、崩壊する家族。
しかし少年は健気に妹を探し続ける。
やがてもたらされる手掛かりと、それにまつわる事件の数々と・・・。
謎解きだけでなく家族の再生をもテーマとした作品。
なお、「このミス」は12/10発売予定です。こちらもお楽しみに。
■クリスマス・プレゼント■
大人から子どもまで知っているあの「ウォーリー」の新刊が発売!
『ウォーリーをさがせ! 謎のメモ大追跡!』
◎今回の紹介本
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★ 『at Home』(本多孝好 角川書店)
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・昨年にも本を紹介した本多孝好さんの新刊。
その時「本多さんはなかなか新刊が出ない人」というようなコメントをしたと思うのですが、
今年も新刊が出ました(本多さんごめんなさい)。
4年ぶりの新作が11月末に発売、恐竜の国やピエロの国など、
今回もウォーリーをさがしながら不思議な旅が楽しめます。
すごろくゲームやペーパークラフトもついていて、家族みんなでワイワイ遊ぶこともできる、
この時期プレゼントにオススメの1冊です。
・タイトルの通り、家族をテーマとした短編集。
とはいえ、ちょっとひねりを加えた家族の形を描きます。
例えばはじめの作品、本のタイトルにもなっている「at Home」。
家族とはいうものの全員血が繋がっていない。籍も入っていない。言わば共同体のような暮らし。
しかも犯罪グループだったりもします。
そんな彼らに、仕事のミスにより訪れた危機。
果してこれにどう立ち向かうのか、そして何を決断するのか。
・この話もそうですが、ちょっと悪いことだったり、あるいは悲惨な状況であっても、
どこか飄々として、時にユーモラスで、またそれでいてどこか心の何かに触れるという、
変わった読後感があります。
・私のお気に入りは「日曜日のヤドカリ」。
9つの女の子がいる女性と結婚した男性。
その女の子とお父さんのちょっとぎくしゃくしつつも、
「家族としてやっていこう」という気持ちが見ていてほほえましい。
・全体を通し、家族とは形ではなく、そのあり方であると。
家族が家族を思う気持ち、それを書きたかったのだなと思います。
◎寄り道〜この本が気に入った人へ
ちょっと変わった家族小説、他にもこんなオススメ本があります。
★『ウェルカム・ホーム!』(鷺沢萠 新潮社)2つの物語を収録。
1つは育てていた夫の連れ子と、離婚により会うことができなくなった女性の話。
数年後の再会は果して。
もう1つは父子家庭に、父親の友人が居候している男3人家族のお話。
どちらも読んでいて、誰かに「おかえり」と言いたくなる。
★ 『グッドラック・ららばい』(平安寿子 講談社)
家出から戻らない母親、規則好きでせこい父親、ダメ男に貢ぐ生き様の姉、上昇志向の妹…。
バラバラなのに家族小説という不思議な1冊。
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★紀伊国屋書店富山店からのお知らせ★
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◆紀伊国屋書店富山店 場所は、富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号 076-491-7031 営業時間 10:00〜20:00
・定休日 : 12月はなし、ただし31日は5時にて閉店。
1月は1日休業、2日からの営業となります。また26日(水)が定休日。
◎12月6日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます!