★☆★★☆★ 9月6日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3月曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 係長 朝加昌良さんのオススメ本です!
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★ 『ひそやかな花園』 角田光代 毎日新聞社 1,575円
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・この作者の『八日目の蝉』を読まれた方は多いのではないでしょうか?
誘拐してしまった子供との親子の愛情、というあらすじだけでは本の良さが全く伝えられない、
まさに「いいから読んでみて!」と言いたくなる傑作でした。
そして、本作は『八日目の蝉』を読んだ方にぜひとも読んで欲しい作品です。
・物語は、夏の風景から始まります。
7人の子どもたちとその親たちが集まるサマー・キャンプ。
そこでは子どもたちは生き生きと遊び、またいくつかのほのぼのとしたエピソードが書かれます。
・しかし、その美しき風景にも影があります。
この子どもたちは、一体どういう関係なのか?
この親たちはどういった知り合いであるのか?
これらの謎を抱えたまま、ある年を境にこのキャンプは開かれなくなります。
なぜ開かれなくなったのか、という新たな謎を加えて。
その後子どもたちはお互いに連絡も取れず、暮らしてゆきます。
・章が変わり、成長して大人になった彼・彼女らが描かれます。
それぞれの抱える悩みや問題、そしていまだに残る子ども時代のキャンプの謎。
やがて彼らの何人かが偶然に出会ったことをきっかけに、
あのキャンプに参加していた子どもたちを探し、謎を解明しようと動き出します。
・この「謎解き」の部分が実に引きが強く、一体どういう真相なのかと読んでいてどきどきしました。
彼らに関わるある秘密と共通点・・・知った時には衝撃を感じました。
・とはいえ、この話は謎解きに終始しません。
真相を知った上で、彼らが何を選択してゆくのか。
自分や家族とどう向き合ってゆくのか。
それこそがこの本の醍醐味といえるでしょう。
・彼ら7人のそれぞれの内面も書かれていることもあり、
読んでいてなにやら彼らと自分を交えた同窓会にでているような気分を覚えました。
美しい思い出を持った仲間たち。
そのためか、読み終えて彼らと 別れるのがちょっと寂しい気持ちになりました。
◎続編発売のお知らせ
・『神様のカルテ』第2弾が9月末日にいよいよ発売です。ご期待ください。
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★紀伊国屋書店富山店からのお知らせ★
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<渡邉アキラ版画展開催>
・開催期間:9月9日〜9月26日 場所:Aカウンター横店内催事場
・告知内容:雑誌「CAR&DRIVER」の表紙イラストを描いている渡邊アキラさんのイラスト展を開催します。
まるで写真のように精密な作風、展示作品は原画をデジタル技術で複製した「レアグラフ」。
この機会にぜひご覧下さい。
◆紀伊国屋書店富山店 場所は、富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号 076-491-7031 営業時間 10:00〜20:00
・9月定休日は、8日です。
◎9月6日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます!
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