★☆★★☆★ 7月5日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3月曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 係長 朝加昌良さんのオススメ本です!
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★ 『しずかな日々』椰月美智子 講談社文庫
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・先週の『ペンギン・ハイウェイ』に続くかのように、今回も少年の夏のお話です。
・タイトル通り静かな、ごく普通の日々のはずなのになぜか劇的で、とても輝いて見える。
これがまさしく少年が毎日感じていることのようで、読んでいて気持ちが若くなるようでした(笑)。
・ストーリーを紹介すると、主人公は母子家庭の、運動も勉強も大して出来ないちょっと大人しい目の男の子。
彼が5年生になり、新しいクラスになって変化が起こります。それは押野というクラスメイトに出会ったこと。
明るく腕白な男の子で、クラスでも人気者。彼と仲良くなることによって日々が楽しくなってきたのに、
お母さんの都合で引っ越さねばならないということになります。
・どうしても引越しはしたくないという主人公の訴えに、
結局はおじいさんの家に住まわせてもらい、そこから通う、ということが決まります。
・そこからおじいさんとの暮らし、また先の押野少年がその家の近所でもあるので、彼も交えた日常が中心に書かれていきます。
それが冒頭に挙げたように、特にこれ、というものはないのだけれど、実に素晴らしい日々なのです。
なのでこの部分をあらすじで伝えるということは、やめようと思います。
主人公の経験を追体験するようなこの読書感は、実際読んで味わってもらうしかないかな、と。
・この作品はその内容から児童文学よりの賞を受賞していますが、大人から子どもまで幅広い方に自信を持っておすすめできます。
その賞というのが第23回坪田譲治文学賞、第45回野間児童文芸賞をW受賞。
ちなみに野間児童文芸賞の受賞者には
佐藤さとる、まどみちお、松谷みよ子、角野栄子、坪田譲治、谷川俊太郎、工藤直子、あさのあつこ、森絵都、
などなど誰もが読んだことがあるであろう人々の名前がありますし、
坪田譲治賞の歴代の受賞者も阿川佐和子、重松清、江國香織、角田光代、いしいしんじ、
といった有名作家が名を連ねており、この両賞をW受賞した本作がいかに優れているかが分かろうかというものです。
子どもにも面白く読ませる本というものはやはり文章表現が的確で、上手です。
変に小難しいことをしなくともお話として純粋に面白い、これが何よりでしょう。
またこのお話は主人公が少年時代を振り返る、という目線であるので、
その距離の置き方もお話を読みやすくさせているのだと思います。
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★紀伊国屋書店富山店からのお知らせ★
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< こんな商品も扱っています!「電子タバコ」 >
・電子タバコ、というものをご存知でしょうか?充電式で、カートリッジにより味を変えられる
商品なのですが、
実は書籍のルートで販売されており、当店でも扱いがございます。発売は宝島社。
スタートセットが2500円なのですが、今後の値上がりを考えると試してみる価値はあるのでは?と思います。
もちろん禁煙を考えている方にも。吸った時に出る煙に見えるものは水蒸気。
もちろんタール・ニコチンはゼロです。
・気になる味なのですが、自分の場合は結構きつめのものを吸っていることもあり、初めは正直物足りない感じでした。
しかし吸っているうちに味になじんできて、今では普通のタバコとこちらを併用しています。
1日に吸う量は半分ぐらいになりました。
< 夏の文庫フェア >
・イベントコーナーでは夏の文庫フェア開催中
◆紀伊国屋書店富山店 場所は、富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号 076-491-7031 営業時間 10:00〜20:00
・7月は定休日はありません。
◎7月5日の放送は、ポッドキャストでもお聞きいただけます!
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