『持続可能な魂の利用』
2020年6月24日
先週のラジオでは、イギリスの愛すべきおっさんたちについて書かれた
ブレイディみかこさんのエッセイ
『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』
をご紹介しました。
◎私の感想は コチラ
今日ご紹介する本にも「おじさん」たちが出てきます。
でも、その意味合いはまるで異なります。
『持続可能な魂の利用/松田青子(中央公論新社)』
本の帯には「この国から「おじさん」が消える」とあります。
いったいどういうこと?と思い、本のページをめくってみました。
主人公は、30代の敬子です。
彼女は、非正規で働いていたものの、嫌な「おじさん」のせいで仕事を辞めます。
年上の正社員の男性からしつこくつきまとわれ、
こわくなった彼女が人事部に相談したところ、
彼との恋愛にうまくいかなくなって感情的になっただけでしょ、
と彼女が悪者にされてしまったのでした。
なんて腹立たしい!
また、敬子の同僚の女性も自分の身を守るために
バッグの中にスタンガンを入れて持ち歩いていたら、
男性たちから「自意識過剰」と言われてしまいます。
ひどいー!
ちなみに、この本で言うところの「おじさん」は、
年齢は関係ありません。また、性別も。
若い男性や女性にも「おじさん」はいます。
「おじさん」は、女性を見下していて、
なぜか自分に自信を持っている人のことです。
他にも「おじさん」の定義は色々あるのですが、それは本を読んでいただくとして。
つまり、女性にとって不快この上ない人たちのことです。
この本には、そんな「おじさん」たちへの怒りが詰まっていました。
フィクションだけど、これってあのことだよね?
と想像せずにはいられない出来事や人物が次々に登場するので、
フィクションなのか、リアルの出来事なのかわからなくなるほどでした。
でも、いずれにせよ、不快だと感じる思いは本物で、
私も読みながら胸の奥が何度も苦しくなりました。
最初は女性を見下して、
都合が悪くなると無視。
そして逆ギレ。
最後は力でねじ伏せようとする「おじさん」たち、
あなたのまわりにもいませんか?
この本に出てくる女性たちはみんな
「おじさん」たちから嫌な目にあっているのですが、
つらい…とメソメソしているだけではありません。
敬子は、ある日、とある女性のアイドルグループの
中心にいる10代の女子に惹きつけられます。
理由は、パフォーマンスの間、笑顔を見せなかったから。
これまで何にもはまれなかった敬子は、
自分にも「推し」ができたことを喜びます。
確かに、誰かのファンになると毎日が輝き出しますよね!
このアイドルのおかげで元気になった敬子でしたが、
大好きな彼女たちを作り出したのも
「おじさん」なんだよなと気付いてしまいます。。。
そして、後半、物語は大きく動き出します。
わーお。そうきたかと想定外過ぎる展開にびっくり!
でも、面白かったです。読後感は爽快でした。
そうそう、本を読んだ後、表紙を外してみてくださいね。
なるほどね!と思わず微笑んでしまうはずです。
これまで生きづらさを感じていたものの、
何も変わらないとあきらめていた女性は、
この本を読むことで、きっと何かしらいい変化があるんじゃないかな。
また、男性の方もぜひ読んでみてください。
というか、男性にこそ読んで頂きたい!
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