島を救ったキッチン
2020年2月5日
この冬はなかなか雪が降らず、今日からやっと冬らしいお天気になりそうですが、
それでも冬がこれだけ暖かいということは
この夏はかなり暑くなるのではないか、と心配になります。
また、台風による被害も出ませんように!と願わずにはいられません。
日本では毎年、各地で台風の被害が出ていますが、
日本だけではなく、今、世界各地で様々な自然災害が起きています。
その中の一つ、カリブ海の島・アメリカ領のプエルトリコは、
2017年9月に史上最大級のハリケーン「マリア」で壊滅的な被害を受けました。
今日ご紹介する本は、いち早く被災地に駆けつけた人気シェフ、
ホセ・アンドレスの災害支援日記です。
『島を救ったキッチン
シェフの災害支援日記 in ハリケーン被災地・プエルトリコ
/ホセ・アンドレス、リチャード・ウルフ
訳:御舩(みふね)由美子【双葉社】』
こちらは、紀伊国屋書店富山店の奥野晃英さんのオススメ本です。
まずは、奥野さんの推薦文をご紹介しましょう。
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2017年、超巨大ハリケーンで壊滅的被害を受けたアメリカ領・プエルトリコ。
−たくさんの人を食べさせること
その言葉を胸に、島民たちが餓えと渇きに苦しむ中で
自ら料理を作りながら、被災地で人命に直結する
「食糧支援網」構築に乗り出した著者が記した災害支援体験記です。
日本でも、神戸、東北の大震災、
昨年の大規模な台風を始めとして
各地でたくさんの自然災害が発生しています。
国は違えども心の何処かで共感し、
もしもの時に「何かできるんじゃないか?」
という勇気を与えてくれる1冊です。
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シェフのホセ・アンドレスは、アメリカでは超有名人です。
何軒もの高級レストランを経営し、メディアにも登場。
去年はノーベル平和賞にもノミネートされました。
そんな人気シェフのアンドレスは、
2017年、ハリケーン被災地のプエルトリコで様々な問題を解決しながら、
冷たい非常食ではなく「温かい、人の作った食事」をふるまい続け、
最終的には約300万食を支援したのだとか。
災害時に優先すべきは、水と食料。
しかも食事は栄養のある温かいものを提供することをモットーに。
また、地元の経済を活性化するために
食材などは地元の業者から仕入れるようにしていたのだそうです。
彼のもとへはシェフたち協力者が集まってきました。
彼らは「シェフス・フォー・プエルトリコ
(プエルトリコのために立ちあがったシェフたち)」
というグループ名をつけ、SNSでその活動を投稿しました。
実際、支援活動の中で一番大変だったのは、料理を被災者に届けること。
料理を運ぶ人や車が必要なのはもちろん、
現地のラジオ番組での発信も役に立ったようです。
そもそもアンドレスが食糧支援を行うようになったのは、
ハリケーン・マリアが襲来する7年前のこと。
同じカリブ海の別の島、ハイチを襲った大地震がきっかけだったそうです。
最初は、現地の人が普段食べる味付けと違うものを出してしまう
などの失敗もあったのだとか。
例えば、日本に当てはめるなら、食べたことのない海外の味付けのスープよりも
きっとお味噌汁が喜ばれますよね。
アンドレスは、ハイチで学んだことをプエルトリコで生かします。
でも、すべてがスムーズにいったわけではなく、問題は山積みでした。
例えば、誰よりも早く行動に移していたアンドレスに対し、
行政や現地で支援活動を行っていた大きな団体は会議に時間を費やしてばかりで、
協力を要請してもなかなか受け入れてもらえなかったのだとか。
このことをアンドレスは「人災」だと言っています。
被災地には大勢のボランティアがいる一方で、
コネや前例にしばられるお偉いさんたちもいました。
この災害支援日記は約400ページあります。
アンドレスがいかにしてプエルトリコを支援していったのかが事細かに綴られています。
同時に災害時のことも学べます。特に「支援」について。
この本を読んで本当に良かった!
皆さんも是非読んでみてください。
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店休日: 2月26日(水)