どこにでもあるどこかになる前に。
2019年11月20日
今日のキノコレは、紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
富山出身の藤井聡子さんのエッセイ
『どこにでもあるどこかになる前に。(里山社)』
をご紹介いただきます。
◎奥野さんの推薦文は コチラ
まず、『どこにでもある どこかになる前に。』
というタイトルにグッときました。
確かに、街がキレイに新しくなるに連れて、どこに行っても
「なんか知ってるような…」「どこかで見たことがある気がする」
という感想を持つことは増えてきます。
著者の藤井さんは、富山出身です。
東京で仕事をしていたものの再び富山に戻ってきて
現在は、富山ならではの個性の強い場所や人を探るライター活動をしています。
コンクリートの狭間から顔を出す「ど根性大根」のような富山を見つけたいと思って。
この本では、藤井さんが富山で感じたことや
藤井さんの心を揺さぶったディープな富山が紹介されています。
と同時に、藤井さん自身の物語でもあります。
藤井さんが富山でライターとして活躍するまでが正直な言葉で綴られています。
「富山」の見え方、とらえ方、愛し方は、人によって違っていいと思いますが、
藤井さんの視点もきっと勉強になると思います。
富山にこんなお店があったんだ!という発見もあれば、
藤井さんの言葉に気付かされることもあるかもしれません。
富山が好きな方はもちろん、
富山は退屈…という方も是非読んでみてください。
***
私は、この本に書かれていた「人が場所を作る」という言葉が印象に残りました。
久しぶりに富山に帰ってきて最初は退屈だと思っていた藤井さんも
様々な人に会うことで富山の魅力に気付いていきます。
私自身も同じです。
富山弁で「旅の人」である県外出身の私は、
富山に来たばかりの頃は疎外感を感じていましたが、
様々な人と関わる中でアウェイ感は薄まり
居心地のいい場所になっていきました。
結局は「人」なんですよね。
例えば、どんなに料理が美味しいお店でも
スタッフやお客さんの態度から居心地の悪さを感じれば、
その後、行きたいとは思えませんもの。
でも、居心地のいい場所は、人によって違っていいと思います。
それぞれに居心地のいい場所があれば、それでいいんじゃないかなあと。
この本を読んだ後、ふとそんなことを思ってしまいました。