わたし、定時で帰ります。
2018年5月30日
現在、国会では働き方改革関連法案の審議がおこなわれていますが、
最近、この「働き方」を見直す動きが出ていますよね。
実際、10年前と働き方が変わったという職場もあるのでは?
例えば、9時〜17時の仕事からフレックスタイムになったとか、
有休や育休が取りやすくなったとか。
あなたの職場はいかがでしょうか?
ちなみに、あなたの会社は定時に帰れますか?
以前、同い年の友人の男性が、
「最近なるべく早めに帰るようにしている」
と言っていまして、なんで?と聞いたところ、
「上司の俺が帰らないと後輩たちが帰りにくいんだよ」
とのことでした。
仕事はとっくに終わっていて帰れるはずなのに、
上司や先輩たちが忙しそうにしているのを見ると
たしかに若手は帰りにくいものですよね。
本来、仕事がちゃんと終わっているのであれば、
定時に帰ることは悪いことではないのに、
早く帰ると「やる気がない」と思われてしまうのが、
ここ、日本です。
さて、今日ご紹介する本は、タイトルが宣言になっています。(笑)
『わたし、定時で帰ります。/朱野帰子(あけの・かえるこ)<新潮社>』
表紙を見るだけでは、まるでコミックのようですが、小説です。
主人公は、32歳の会社員の女性の結衣です。
彼女が仕事をする上で大切にしていることは、
絶対に残業しないこと!
がむしゃらに仕事に取り組むお仕事小説は数多くありますが、
「定時に帰ること」を扱った小説は、あまり無いように思います。
でも、長時間労働が問題になっていますし、旬な小説ともいえますよね。
結衣は、仕事ができないわけでも嫌いなわけでもありません。
効率がいい。つまり、仕事ができるのです。
でも、ちゃんとやるべき仕事をして帰っているのに、
そんな結衣のことをやる気が無いと批判してくる同僚もいます。
というのも結衣の職場は長時間労働をしている人が多いのですね。
例えば、
風邪をひいて体調が悪くても出社し続ける皆勤賞女や
仕事をたくさんすることでハイな状態になってしまっている男性、
もはや会社が家と化している仕事のできない男性などがいます。
そうなんですよね。
仕事が好きで、出来過ぎて仕事をすることに快感を覚えてしまう人もいれば、
仕事ができなくて、だらだらしているうちに時間が経過してしまい、
結局仕事が終わらず、夜中まで仕事をする羽目になる人もいます。
また、中には上司へのアピールのために、無駄に会社に居続ける人もいます。
長時間労働といっても、全員が同じ理由では無いのですね。
そんなある日、無茶な仕事を振って
部下をつぶすという噂のブラックな上司や
社外へのアピールのためだけに
「女性躍進プロジェクト」をやり始める役員が新たに会社にやってきます。
読みながら、ほんとムカムカしました。(笑)
それでも結衣は、定時に帰ることを目指し、
部下である新人の男性にもだらだらするのではなく
効率よく仕事をすることを教えます。
そもそもこの会社の社長は、
長時間労働はよくない!と言っているのですね。
それなのに、気付けば現場は長時間労働が当たり前になっていたのでした。
これまでよっぽどのことが無い限り残業はせずに帰っていた結衣でしたが、
ブラック上司のせいで残業しないと仕事が終わらなくなってしまい…。
***
結衣は、正しい人です。
効率よく仕事をし、
仕事のあとは、美味しいビールを飲むことの何が悪いのか、と。
無駄にだらだら仕事をしたり
体調が悪いのに会社に出社し続けるほがおかしい!
集中して仕事をすれば早く終わるし、
体調が悪ければ休んだ方が長い目でみれば、仕事がはかどるじゃない!
と思っています。
でも、どんなに自分が正しくても
正しさだけで仕事はできません。
結衣はある行動に出るのですが、
この先はぜひ本のページをめくってみてください。
***
結衣から学ぶべきことがたくさんありました。
私の仕事はどこまでが仕事かわかりにくいところがあるのですが、
でも、無駄にダラダラしたり、ただ形だけの仕事は好きでは無いので、
結衣の気持ちがよーくわかりました。
また、ちゃんと休むことの大切さにも共感。
いい仕事をするには、やはりちゃんと休んだり
仕事以外の時間を設けることが大切なのですよね。
新しい形のお仕事小説は、
小説としても面白かったですし学ぶべきことも多く
大変有意義な読書時間となりました。
知らぬ間にオーバーワークが当たり前になりつつある皆さん、
一度仕事から離れてこの本を読んでみて下さい。
この小説を読んだ後は、きっと働き方が変わると思います!
今後、こういうタイプの小説が増えていきそうだなー。