バック・ステージ
2017年10月11日
仕事をしていると、
自分のミスを人のせいにしたり
逆ギレしたりする人に時々出会います。
このブログをお読みのあなたも
仕事をしていて理不尽だなと感じたこと、ありませんか?
私は逆ギレしている人を冷めた目で見ながら、
心の中で「いつか痛い目にあいますように」と何度思ったことか。(笑)
私も性格悪いですね…。ハハハ〜。
今回読んだ本にもまさにそんな男が出てきました。
営業成績はいいものの、理不尽な説教を部下にし続ける嫌な男です。
読んでいて本当にイライラしました。(笑)
***
今日ご紹介するのは、そんなパワハラ上司の不正の証拠を見つけることになった
2人の男女の物語から始まる小説です。
『バック・ステージ/芦沢央(あしざわ・よう)(角川書店)』
でも、すべてがこの2人の物語で構成されているわけでなく、
この2人の周辺で、ある4つの物語が同時に進行していくという連作短編集です。
例えば、どんな人が登場するのとかというと
・なかなか友達が作れずにいる息子のことを心配するママ
・好きな女性にふられた男子大学生
・人気演出家の舞台に抜擢されたのに
本番直前に「舞台に出るな」という脅迫状を受け取ってしまった新人俳優
・認知症の兆候が表れた大女優を長年支えているマネージャー
といったそれぞれ全く関わりの無い人たちの物語が描かれています。
そして、それぞれの物語に最初の男女2人が偶然繋がっていきます。
果たして、物語はどこに向かっていくのでしょうか?
***
ここまでの紹介では、あまりにもバラバラ過ぎて
何が面白いの?と思われてしまいそうですが、
このバラバラな物語が面白いように繋がっていくのです。
もちろん、最初に登場したパワハラ上司も忘れられていません!(笑)
後半は、とある舞台の本番がそのまま描かれているので、
舞台の緊張感も加わり、よりスリリングな展開になっていきます。
そして、最後まで読んで、ああ、面白かった!と思うのですが、
それで終わらない遊び心がこの本にはあります。
なんと本のカバーをめくると「お楽しみ掌編」が特別に収録されているのです。
この最後の物語がとてもいい!
もちろん本編で完結しているのだけど、
この短い物語あることで、ニヤニヤ度が増します。
・
「お楽しみ掌編」はカバーの裏にありますので、
忘れないように気を付けてくださいね。
***
この本は面白かったのはもちろん、大切なことにも気付かされました。
人は知らないうちにたくさんの「勘違い」をしているものなんだな、と。
例えば、この人は私のことが嫌いに違いない!と思っているのは自分だけで、
実際は相手は何も考えていなかったりする、というような。
どうでしょう?
あなた自身、自分の思い込みで悩みを大きくしてしまっていませんか?
物事を大事(おおごと)にしてしまっているのは自分自身なのかも。
***
表紙を見る限り軽〜い物語のように見えますが、内容は濃いです。
様々な登場人物がいますし、老若男女、誰もが楽しめるはずです。
秋の夜長に是非読んでみてください♪