やめるときも、すこやかなるときも
2017年5月24日
今日ご紹介するのは、こちら。
『やめるときも、すこやかなるときも/窪美澄(集英社)』
タイトルを見た瞬間、結婚式を思い浮かべた方もいらっしゃるのでは?
結婚式の誓いの言葉としておなじみですよね。
まさに結婚を意識した、アラサーの男女の物語です。
簡単に二人のことをご紹介しますね。
男性は、家具職人をしています。
彼は、大切な人の死を忘れられずにおり、
彼女は作らず、女性とは一夜限りの関係を続けています。
一方の女性は、パンフレットの制作会社で働いています。
彼女は、困窮する実家を経済的に支え、
恋とは縁遠い日々を送っています。
心の中では誰かと結婚をしたいと思いつつも恋には奥手です。
そんな二人が一緒に仕事をすることになります。
彼が作った家具のパンフレットの制作担当が彼女だったのです。
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実は主人公の二人は、ともに人には言えない悩みを抱えています。
仲のいい友人にさえ言っていないような。
恋愛が始まったばかりの頃は、
たいていお互いのいいところを見せますよね。
デートをするにしても二人とも頑張ります。
オシャレもするし、お互いを思いやります。
そして、慣れてきたころにダメな部分が出てきて
大きな喧嘩をしたり、場合によっては別れたりするのですよね。
こんな人だとは思わなかった…
なんてことを言ったり聞いたりしたこと、あなたにもありませんか?
でも、この主人公の彼女は、
気になる相手には、最初から自分の弱点を見せてしまえ!
と開き直ります。
これが功を奏し、彼女にとっては嬉しい展開となるのですが…
おとぎ話のように、王子様と結ばれて、はい、めでたしめでたし。
ではなく、ここから物語がはじまります。
弱みを見せた後、二人がどうなっていくかは、
是非本を読んで確かめてください。
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この物語は、語り手が男女交互に入れ替わります。
ですから、ひとつの出来事に対して、男女それぞれの思いを知ることができます。
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私は女性なので、どちらかというと彼女に肩入れし、
すっかり彼女の友達気分で応援していましたが、
男性がこの本を読んだときは、また違った感覚なのでしょうね。
そんな一般的な男女の違いなども興味深かったです。
もちろん、肝心のストーリーも大変面白かったですよ!
主人公二人の関係が気になって、
夢中で一冊を一気読みしてしまったほどです。
不器用なアラサー男女のラブストーリーというと
薄っぺらく聞こえてしまいそうですが、
この物語は決してそんなことはありません!
物語の登場人物たちは、お互いの気持ちをぶつけ合っていますし。
でも、喧嘩ばかりではありませんよ。(笑)
著者の窪さんが
「やさしさ成分の多い作品になりました」
とおっしゃるとおりでした。
何度、その優しさに涙したことか。
具体的に心が揺さぶられた箇所を言いたいところですが、
ネタバレになってしまいますので、やめておきます。
この本、どなたが読んでもいいと思いますが、
あえてしぼるなら、婚活中の方におすすめです。
「結婚」に対する考え方がいい意味で変わるように思います。
私は…結婚もいいもんだなと思えました。(笑)
ぜひ読んでみて下さい♪