蜜蜂と遠雷
2017年1月25日
先週の金曜日にある本を求めに紀伊國屋書店富山店に行ったら
私が手に取った本が最後の1冊でした。
その本とは、先週の木曜日に直木賞を受賞した
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷(幻冬舎)』
です。
本を持った瞬間、ずしりとした重さを感じました。
500ページ以上というページ数はもちろんですが、
構想から12年、取材11年、執筆7年という
長期間にわたって丁寧に描かれた渾身の作品
であることも関係しているように思います。
500ページ以上あるなんて読むの大変そうだ…
と思いましたか?
そんなことありません!
先が気になって読みたくてたまらなくなりますから。
と同時にまだまだ本の世界に浸っていたいという
矛盾した気持ちにもなりますが。
私は読み始めてすぐにこの本の虜になりました。
いや、この本は「読む」というより「聞く」と言うべきかも。
こんなに音が聞こえる作品は無いというくらいに音が聞こえてきました。
素敵なライブを見たときの高揚感をずっと感じながらの読書時間でした。
***
簡単に内容をご紹介しましょう。
『蜜蜂と遠雷』
というタイトルを見ただけでは何のお話?
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
舞台はピアノコンクールです。
日本で3年ごとに開催される
国際ピアノコンクールのエントリーから
第一次予選、第二次予選、第三次予選、
本選までが描かれます。
そのコンクールに参加する若者たちをメインに
審査員や彼らを支える人たちが登場し、
一人称が入れ替わりながら物語が進んでいきます。
メインとなる参加者は4人。
・独自の世界観をもっている16歳の少年
・かつて天才少女と言われた20歳の女性
・28歳の楽器店勤務のサラリーマン
・見た目も演奏も完璧な19歳の男性
彼ら4人をはじめ様々な若きピアニストたちが
優勝を目指してコンクールに挑むという青春小説です。
***
この物語の何がすごいって、
文字だけで音楽を再現していることです。
不思議なことに文字を目で追っていると
音楽を聴いている気分になり、
気付くと涙が出ているのです。
たくさんの曲が登場するのですが、
どれも趣が全く異なります。
表現力のなんて豊かなことか!
ライブを見ている時の言葉にならない感動ってありませんか?
それらが心にぴったりあてはまる言葉で表現されていて、
まるで心の中が整理されていくようでもありました。
実際、共感の連続でした。
例えば、
・一流のアスリートの動きには音楽が聞こえるように感じる時もある
・素晴らしい演奏を耳にすると、
よく知っている曲のはずなのに、
初めて聴く曲のような気がする
・いい演奏は、聞いた瞬間、会場全体が覚醒する
など。
この本を読むと心がどこまでもピュアになり、
私は自分の心に正直に本を読んでいたら、泣いてばかりでした。
本を読み終えた時、目が腫れてました。(笑)
そうそう、この本は音楽が聞こえる、と表現しましたが、
実際にどんな曲だろう?
と聞いてみたくなる方もいらっしゃると思います。
私も聞きたくなったので調べたところ…
なんと、聞くことができました!
この本の特設サイトに詳細がのっていますので
是非チェックしてみて下さい。
★ 『蜜蜂と遠雷』の特設サイトは コチラ
私も実際の曲を聞きながらこの本を再度読んでみたいな。
とにかくいい本でした!!
あなたも次のお休みは一日どっぷり『蜜蜂と遠雷』の世界に浸ってみては?
きっといい時間を過ごせるはずです。
心のエステだと思えば、税別1,800円は破格の安さです!