猿の見る夢
2016年11月9日
今年も残り2ヶ月を切り、
この1年を振り返ることも増えてきましたね。
ところで、今年の干支は何だったか覚えていますか?
正解は・・・
申年です!
先日、本屋さんで「猿」がタイトルに入った本を目にした時、
そういえば、今年は申年だったなあと思い出しました。
その本とは、『猿の見る夢/桐野夏生(きりの・なつお)(講談社)』です。
真っ赤な本の表紙には猿ではなく道化師の絵が使われ、
本の帯には、著者である桐野夏生さんの
「これまでで一番愛おしい男を描いた」の言葉が載っており、
いったいどんな本だろうと思い、手に取りました。
ちなみに、この本は「週刊現代」に連載されていたそうなのですが、
当時から話題になっていたのだとか。
確かにページをめくる手が止まりませんでした。
と言っても、ミステリの先が気になるといったようなドキドキではなく、
まるでワイドショーの続報が気になるといった感覚に近いかも。
別に有名人でなくても、知っている人の意外な噂だとその先も聞きたくなりませんか?
例えば、クールな上司が実は奥さま以外の女性と付き合っていて
「みゆたん」なんて呼んでラブラブメールを送っているのを見てしまったらどうですか?
自分とは関係のない話だと思っても、一度見てしまったら気になりません?
そんな感じでこの本を読むのをやめられなくなりました。
***
『猿の見る夢』のストーリーを簡単にご紹介しましょう。
主人公は、元大手銀行勤務で、
出向先では会長に気に入られ常務になるのも夢ではないかも?
という59歳の男性、薄井です。
近々二世帯住宅を建築予定ですが、
彼には十年来の愛人「みゆたん」もいます。
ところが最近は会長秘書の女性のことも気になり…
という、本当にしょうもないおじさんです。
しかも、女性はみんな自分の思い通りになると思っているのです。
また、女性関係が最低なだけでなく、
仕事においては、自分が不利だとわかると簡単に寝返ります。
ほんっとうにゲスな男です。
そんな男の物語なんて読みたくない。
現実世界で嫌というほど見てるから!
と思った女性の方もいらっしゃるかもしれませんが、
そういう方にこそ読んでいただきたいです。
女性だってバカではありません。
何もわかっていないのはこの男だけです。
痛い目にあった時の、この男のあわってぷりの、なんと痛快なことか!
笑えます。
でもね、こんな最低な男なのに、
私は彼のことを徹底的に攻撃できませんでした。
というのも、この男のずるさが私にもあるかもしれないと思えたからです。
100%正しい人はいません。
全て正論だけで生きている人もいないですよね。
嫌なところ、ずるいところ、弱いところも含めて人間です。
そういう意味では、主人公の薄井は人間的です。
意見はコロコロ変えるし、
めんどくさいことからは逃げてばかりです。
でもその一方で、簡単に情に流されたり優しいところもあったりします。
そんな薄井が会長から社長のセクハラ問題を相談され、
会長と社長のどちらにつくべきか悩みます。
さて、彼はどんな答えを出すのでしょう?
続きは本で♪
***
この本を読んだ女性と話がしたいなー。
薄井さんについて、あれこれ語り合いたい。
きっと「男ってさー」と「薄井さん=男代表」のような感じで
悪口大会が始まるんだろうな。(笑)
もちろん、愛を込めての悪口大会ですよ。
ふふふふふ。