国を救った数学少女
2015年8月26日
問題が生じたとき、
なんで私ばかりこんな目にあうのよー!と騒いだり、
誰かのせいにしてイライラしたり、
落ち込んだりすることはよくあることですが、
そんなとき、問題を受け止め、冷静に分析し、
行動することができたら、スマートでかっこいいですよね。
そんな人に出会うと、男女問わず、素敵だなと思います。
すぐに愚痴を言う私にはなかなかできないので・・・。(笑)
実は、このブログをほぼ書き終え、
よしアップしよう!と思った瞬間、
パソコンの不調により、すべてが消えました。
わーーーー!と叫んでみたところで状況は変わらず、
ふと、この本の彼女はこんな時は、
「困ったわね。でも、もう一度書けばいいこと。もっと洗練した内容でね!」
と冷静に前向きに受け止めるんだろうなと思い、
私もこのように再び、パソコンに向かっております。
私がほぼ書き終えていたブログは、
今日のユキコレ(grace内コーナー13:45頃オンエアー)にご紹介する本の感想です。
その本とは、スウェーデンの作家、ヨナス・ヨナソンの
『国を救った数学少女』
です。
ヨナス・ヨナソンの2作目です。
デビュー作の『窓から逃げた100歳老人』は、
全世界で1000万部を突破し、映画化もされました。
日本でも今年の本屋大賞翻訳小説部門で第3位にランクインするなど、
注目されました。
私もラジオ&ブログで以前ご紹介したのですが、覚えているかしら?
『窓から逃げた100歳老人』は、
100歳の誕生日に老人ホームから逃げ出した男性の物語なのですが、
なんと彼は、20世紀の歴史的事件になんらかの形でかかわっている、
というありえないストーリーでした。
2作目となる今作も、デビュー作の勢いそのままの
はちゃめちゃストーリーとなっていました。
『国を救った数学少女』は、タイトル通り、主人公は少女です。
彼女は、人種差別の激しかった南アフリカで、
暮らしのために5歳の頃からし尿処理場で汲み取り桶運びをしています。
彼女は、学校には行ったことがなく、当然読み書きもできません。
でも、天才的な数学の才能を持っていました。
また、とにかくクレバーで、頭の回転が速いのです。
そして、どんな困難も受け止め、前向きに現実的に受け止め、解決していきます。
でも、バカ真面目というわけではなく、ユーモアもあります。
とことんむかつく相手に対しても、その態度は変わりません。
そんな彼女が南アフリカを出て、スウェーデンに行くことになります。
そこでは、初めての恋を知ったり、国王や首相の危機を救ったりもします。
はっきり言って、読みながら物語の先が全く見えませんでした。
次々に出てくる超個性的な登場人物たちに、これでもかと生じる様々な危機。
ページをめくるたびに、次はこうきたかーと突っ込まずにはいられませんでした。
そんな状況でも冷静に前向きに生き抜く主人公の彼女の物語です。
と書くと、健気な少女の成長物語?と思われそうですが、そういう感じでもありません。
『国を救った数学少女』は、前作に続き、史実とフィクションをミックスさせたはちゃめちゃストーリーです。
日本の小説にも、はちゃめちゃなものはあるけれど、
このぶっ飛んだ世界観は、やはり海外のものだなあと思いました。
でも、わーはっは!と笑うだけのストーリーのようでありながら、
ところどころに皮肉も効いていて、ぴりりと物語をひきしめています。
世の中、色々あるけど、どうにかなるもんなのかもな!
と主人公の彼女を見ていると思えてきます。
人に愚痴を言う暇があるなら、気持ちを切り替えて前向きにいくしかないな、と。
この夏、どこにも行けなかったなあ!という方は、
夏の最後に、本の世界を旅してみては?
きっと濃い夏の思い出ができますよ。
それでは、はちゃめちゃワールドへ行ってらっしゃい♪