『上京十年』&『愛する言葉』
2008年6月23日
◆『上京十年』
益田ミリ(ますだみり)さんの『上京十年(幻灯舎文庫)』を読みました。
私自身、富山に来て8年目。
辛いことを思い出すと長かったなぁと思いますが(笑)、やっぱり早かったかな。
自分は東京ではありませんが、
やりたい仕事をするために実家を離れ県外で暮らしている、という点では、
この本には共通点がありそうだな、と思い、購入。
真ッピンクの表紙と1センチにも満たない薄い本だったことも軽く読めそうでいいかなぁと。
この本は、 イラストレーターになるために仕事を辞めて、
貯金200万円を持って東京での生活を始めた作者の、
東京暮らしの様子を綴ったエッセイです。
中日新聞での連載「明日のことはわかりま川柳」をまとめたものです。
エッセイとあわせ、川柳も紹介されています。
内容を読んでいると、なんて素直な方なんだろうと思えます。
人に嫌な態度をとってしまい、
後で、なんであんなことをしちゃったんだろう、と落ち込んだこととか、
ひどいことを言われて嫌な気持ちになった出来事とか、趣味のエステや旅行のお話など、
日々の出来事が綴られています。
とても人間らしくて共感できます。
私が分析した益田ミリさんを箇条書きにしてみました。
・自分にあまり自信が無い。でも仕事は好き。
・両親との関係は良好。
・やや小心者。そして心配性。
・言ったりやったりした後に、一人後悔する。
・エステ&一人カフェが好き。
・未婚(ちなみに作者は30代後半)
自分と似ている・・・。
まるで、自分自身を分析しているようでした。
さら〜っと読めます。
人間は完璧じゃないから面白いんだ、と思えた本でした。
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◆『愛する言葉』
そしてもう1冊、後輩の上野アナに借りた本
『愛する言葉/岡本太郎・岡本敏子(イースト・プレス)』
も読みました。
先ほどの本とはまったくタイプの異なる本です。
天才芸術家、岡本太郎さんとそのパートナー岡本敏子さんによる、言葉集です。
愛し合う2人の愛の言葉が、まるでシャワーのように脳に心に降り注ぐ。
私が一番印象に残った言葉は「恋愛は無条件」。
2人がどれだけ相手を愛し、尊敬し、大切にしているのかが伝わってきました。
相手を思いやる気持ちがあれば、
困らせたり、悲しませたりすることは言わないですよね。
でも、みんな、そのことを忘れてしまう。
相手の気持ちの前に自分の気持ちを1番にしてしまうんですよね。
相手を傷つけていることには気づかず、自分ばかりが傷ついているような気になっている。
そんな人いませんか?
私は、間違いなく「そんな人」。
はぁぁぁ。私ってなんて小さい人間なんだ・・・と落ち込みました。
でも、落ち込めてよかった。
それは、岡本太郎さんと敏子さんの言葉がちゃんと心に入ってきた、
ということだと思うから。
生温い言葉が並ぶ言葉集は、あまり好きにはなれないけれど、
まっすぐ、熱く、正直な言葉が綴られた言葉集は、
落ち込むこともあるけれど、得るものも多くて、好きだ。
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『上京十年』で、人は完璧じゃないから面白い、と思い、
『愛する言葉』で、完璧じゃないから、愛する人と支えあう、ということに気づきました。
全くタイプが異なる本だったけど、私の中ではつながりました。
やっぱり本は色々なタイプのものを読まないとね〜。