奥田さんの作品を2冊ご紹介
2014年12月24日
今年最後のユキコレ(grace内の本紹介コーナー)は、
だいぶ前からこの2冊にしようと決めていました。
『田舎でロックンロール(角川書店)』
『ナオミとカナコ(幻冬社)』
いずれも私の大好きな作家、奥田英朗さんの作品です。
なかなか新作が出ず、いつでるのよー!
と本屋さんに行っては本棚をチェックしていたのですが、
この秋、なんと2冊も同時に発売されました。
ワーオ!
ちなみに、このワーオ!(あるいはワオ)という表現は、奥田さんがよく使っており、
私もふざけて使っているうちに、
いつの間にか私の口癖になってしまいました。(笑)
さて、今回の新作2冊もそれぞれ楽しめました。
どちらから紹介しようかしら。
うーん。とりあえず、読んだ順に紹介します。
まずは、『田舎でロックンロール』から。
こちらは、エッセイです。
奥田さんは、大のロック好きなのです。
岐阜の田舎の中学生だったオクダ少年は、
中学生になって、まずラジオを購入。
ラジオネーム「鼻毛クン」として、
ラジオ番組にリクエストを送りながら、
ラジオから流れる音楽にはまっていきます。
そして、中学生になってから、夏休み前までの間に、
歌謡曲→日本のフォーク→外国のポップス
と好きな音楽の好みが変わっていきます。
奥田先生いわく、
「中一なんて、ひとつきあれば趣味嗜好全部がガラリと変わる」のだとか。
まさに、かなりのスピードで好きな音楽が変わっていきます。
次々に新しい音楽と恋に落ちていくのですが、
この方は本当に恋多き方です。笑
何度、一目惚れならぬ、一聴惚れをしたことか。
好きな音楽に出合った時の感動っぷりが凄すぎて、
読んでいる私にまでその感動がうつって楽しくなってきます。
知っている音楽は勝手に脳内で音が鳴り始め、
知らない音楽はなんとかして聴きたくなります。
まるで、オクダ少年が当時、この曲を聴きたい!と思いながら、
雑誌を読んで我慢していたように。
なぜ、この本にはCDがついてないのよー
と思わずにはいられませんでした。
英会話の本のように、CDもついていたら、
よりこの本を楽しめるのになあ。
この本のコンピ盤があればいいのにー。
違うな。奥田さんは、そんないいとこどりじゃなくて、
ちゃんと1枚ずつ買ってもらいたいんだよね。
それこそ、コンピじゃなくて、ラジオで特集組んだらいいのかも。
一日かけて、奥田さんにリアル『田舎でロックンロール』を再現してもらいたいなあ。
ちなみに、この本は、奥田さんの中高時代の
1972年から77年の間の音楽(ほぼ洋楽)について触れられています。
きっと、奥田さんと同世代の方たちは、この本を読みながら、
懐かしさと共感で涙が出てくるのではないかしら。
また、この時代の音楽が好きな方は、たくさんの音が脳内でなり続け、
とてもにぎやかな読書時間になると思います。
でも、同世代ではなくても、十分楽しめます。
奥田さんのエッセイは、読みやすく楽しいので♪
そして、勉強にもなります。
ロックが好き!という若者の皆さんも是非!
***
そして、もう一冊の『ナオミとカナコ』は、長編小説です。
タイトルの2人は、大学からの親友です。
直美は、望まない職場で憂鬱な日々を送っており、
加奈子は、夫の酷い暴力に耐える専業主婦をしています。
親友が酷いDVにあっていることを知った直美は、
2人で加奈子の夫を殺す計画を立てます。
絶対に捕まらない作戦を立て、
ついに実行に移すことに…
読んでいるだけの自分まで共犯者のような気持ちになり、
2人が焦れば焦るほど、私の心臓までがバクバクしてきました。
嘘がバレそうになった時は、
私ならどうする?
どうしたらいい?
と本気で考えていて、
気分はすっかり『ナオミとカナコとユキコ』でした。(笑)
何度も、ひやりとする場面が続くたび、それで最後はどうなるの?
と途中を飛ばして、最後のページを読みたくなる衝動にかられました。
それくらい、私自身も気持ちが焦っていたのだと思います。
最後の一行まで、ドキドキが続きっぱなしでした。
読み終えた後は、追われ続けた夢から目が覚めたかのような感じでした。
ああ、終わった!と。
どんな終わりだったかは…もちろん秘密!
そこは、読んでからのお楽しみということで。
あなたも共犯者気分を味わってみてください。
いや、自分は共犯者にはなりたくないって?
大丈夫。客観的に読めばいいんですから。
ま、気づいたら共犯者になってるけどね〜。(笑)
奥田さんの作品は次々に映像化されるけれど、
これもいつか映画化されそうだなあ。
ちなみに、『ナオミとカナコ(幻冬社)』は、
奥田先生のサイン入りを購入。
嬉しい♪♪
ちょっと自慢。(笑)