サラバ!(上・下)
2014年12月10日
すごい本を読みました。
前のめりになって本に顔を近づけ、
私の目だけが、上から下へ、下から上へ動き続けました。
しかも顔はニヤニヤ。
誰にも見せられない姿です。(笑)
でも、間違いなく、この本を読む私の姿はそんな感じだったと思います。
しかも、ずっとそんな状態でした。
ノンストップってこういうことを言うのね、
というくらいに本を読むことをやめられませんでした。
私がすっかり心を奪われてしまったのは、
西加奈子さんの最新作『サラバ!(上・下)』です。
この本は西加奈子さんが作家生活10周年を記念してお書きになったものです。
ちなみに、西さんは、イラン・テヘラン生まれ、エジプト・カイロ、大阪育ちです。
西さんの作品ですと、『ふくわらい』を以前ご紹介しました。
★ 『ふくわらい』の感想は コチラ
いま、過去の自分の感想を読んで、
「ノンストップ」という言葉がこちらでも使われていることに気付きました。(笑)
つまりそういうことのようです。
西さんの作品は「ノンストップ」で読みたくなってしまうのです。
そして、『サラバ!』も『ふくわらい』もラストに光を感じました。
ああ。まぶしいなあって、目を細めてしまうような。
本を読んでいるだけだから文字しか見えていないのだけれど、
西さんの作品からはたくさんの色が見えてきます。
本を読んでいるというより、本の世界の中にいる感じなのです。
『サラバ!』は、特に主人公と一緒に長い長い旅をしている気分でした。
***
本の内容を少しご紹介しましょう。
主人公は、圷歩(あくつあゆむ)君。
1977年5月、父の海外赴任先のイランで生まれます。
しばらくはイランで暮らしていた歩ですが、イラン革命がおこり、大阪へ。
その後、小学生になってから、今度はエジプトへ向かいます。
実は、このイランで生まれ、大阪、エジプトで暮らすというのは、
西さんの人生そのもののようです。
当時の町の描写がいきいきと描かれているのは、
実際に経験されていることだからなのだと思います。
物語は歩の目線で進んでいくのですが、
歩君は見た目がよく性格もわりと大人ということで、
子供のころはかわいい男の子として愛され、
大きくなってからはそれはそれは女性たちからもてました。
物語には歩の家族もよく登場します。
父はいたって普通の人なのですが、
母は常におしゃれでいることを忘れないチャーミングな人でした。
そして、この本にアクセントを与えているのが、歩の姉です。かなりの変わり者です。
物語に問題が生じる時はたいてい姉が原因です。
毎回やらかします。しかも予想をしていないことを。
本を読みながら「おおー!次はそうきたか!」と
姉の次なる言動が楽しみでしかたありませんでした。
歩君からは「他人だからそんな風に笑えるんだよ!」と怒られそうですね。(笑)
いったいこの家族はこのあとどうなっていくのだろう?と思いながら読んでいましたが、
全く予想もしていない出来事が次々に起きて、「えぇー!!」の連続でした。
歩君は?
変わり者の姉は?
他にも彼らの人生に関わってきた様々な方たちを巻き込みながら、
物語はどんどん膨らんでいきます。
膨らみ続けた物語のラストは・・・。
***
ぜひぜひぜひ読んでみてください!と〜っても面白いですから。
今、もし何かオススメの本は無いかと聞かれたら、
私は間違いなくこの本をすすめます。
上下巻で2冊もあって分厚いので、
本を目にした瞬間、「無理!」と思ってしまいそうですが、
きっと読んでよかったー!と思えるはずです。
それから、この鮮やかな本の帯も西さんが描かれたそうですよー。多才ですね。
西さんの他の本もすべて読みたいなあ。
最近、読みたい本が本当に多くて困ります。
『サラバ!』は、今日のユキコレ(13時45分頃〜オンエアー)でご紹介します!
すでにお読みになった方は、ぜひ感想をgrace宛にお寄せください。