昼田とハッコウ
2013年11月4日
すっかり冷たくなった珈琲を一口飲んでから、
読み終えたばかりの本をぎゅうっと抱きしめる瞬間が私は大好きです。
またまたそんな本に出合えました。
このあふれんばかりの熱い気持ちを今すぐ伝えたい!
と逸る気持ちを抑えつつ、今こうしてブログを書いております。
今週のキノコレ(11月6日(水)13時45頃〜オンエアー)
で紀伊國屋書店富山店の橋本さんにご紹介いただくのは、
今年9月に講談社から発売された
山崎ナオコーラさんの 『昼田とハッコウ』 です。
★橋本さんの推薦文は コチラ
★講談社の特集ページは コチラ
山崎ナオコーラさんというと、
映画化もされた 『人のセックスを笑うな』 が有名ですよね。
そんな山崎さんの新作です。
本のタイトルの昼田(ひるた)もハッコウも人の名前です。
舞台は、東京の若者に人気の町・幸福寺にある
町の本屋さん「アロワナ書店」。
ハッコウは書店の名ばかり店長。
昼田はハッコウのいとこです。
二人とも20代半ばの同い年で、
まわりからも「双子」と言われながら育ちました。
そんな二人が町の書店を経営していくという物語です。
***
最近、映画のような質感のドラマが多いですよね。
まるでドキュメンタリーのような自然な会話や空気感のドラマ。
そんな感じの小説です。
登場人物や設定は物語っぽい感じもあるのだけど、
彼らの会話はいたって普通で自然なのです。
ああ、この距離感、この返し、気持ちいい!と何度思ったことか。
ドライブ中、車の中でなんとなく始まるどうでもいい会話ってわかります?
例えば、曲を聴きながら、
「この曲を今この瞬間、世界で同じように聴いている人って何人いるんだろうね」
のような会話。
(ちなみに、私は懐かしい曲を聴くとき、いつも同じことを想います)
このいたって普通の会話がちりばめられています。
そして、そういうやりとりの中にこそ、その人らしさが見えるもので、
薄いようで味のある会話でした。
また、きょうだいならではの空気感がいいんです。
ハッコウには兄と弟がいて、
昼田も交え、まるで4人きょうだいのように育ったのですが、
この兄弟ならではのトークがいい感じで。
私も4人きょうだいなので、気持ちがわかり過ぎて、
ずっとにやにやしながら本を読んでいました。
私の場合は、姉3人に年の離れた弟1人なので、
男4人とはちょっと違うかもしれないけれど、よく似た感じです。
相手を気遣うことをせず、思ったことをそのまま口にするため、
どうでもいいことで喧嘩が始まり、
でも、なんとなく仲直りをしていたり、
恥ずかしいことも堂々と言えたり、
かと思えば、きょうだいだからこそ言いづらいこともあったり。
兄弟や家族といるときって、公の場と違って顔に緊張感が無いように思うのです。
私は実家に帰ると顔がだらしなくなり、いつもよりブスになるような気がします。(笑)
この本は、そんな内輪な空気の本だなあと思いました。
だからといって内輪うけとは違うのです。
だれもが、すうっと中に入っていける感じです。
また、家族のお話だけじゃなく、
町の本屋さんが舞台となっているので、
「本屋さん」の裏事情についても学べます。
また、ここ何年かのことが書かれているので、
登場人物たちの会話がリアルなのも印象的でした。
それから、たくさんの本も登場していましたので、
本好きの方は、ニヤリポイントが人より多い分、さらに楽しめるかもしれません。
私は未読の本が多かったので、
この本をきっかけに広げてみようかと。
『昼田とハッコウ』は私の好きなタイプの本でした。
ちょっと気になり本を書いた山崎ナオコーラさんってどんな人だ?
と思って調べてみたら、私と同い年でした。
友達になりたい。(笑)
ところで。
この本は、テレビで話題になったそうです。
ってことはいずれドラマ化されそうだなー。
私が思う配役!
ハッコウ 永山絢斗
昼田 瑛太
実の兄弟でやってほしい。(笑)
兄 伊藤英明
弟 本郷奏多
既に本を読んだ皆さん、この配役、いかがでしょう?