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遊牧夫婦シリーズ最新刊!

2013年9月25日

旅から帰ってきました。

ただいまー。

という気分です。

「気分」ですから、どこにも行っていません。

でも長い長い旅をしていた気分なのです。

なぜなら、旅のエッセイを読んだから。

こんなに人の旅のお話をわくわくした気持ちで読んだのは、
この方のエッセイが初めてです。

その方とは、近藤雄生(こんどう・ゆうき)さんです。

近藤さんの新作

『終わりなき旅の終わり〜さらば、遊牧夫婦(ミシマ社)』

が先日発売されました。

世界各地を旅をして暮らした夫婦のお話です。

実は、このシリーズの本をご紹介するのは、今回で3回目です。

全てこのブログ&ラジオでご紹介してきました。

まず1冊目は、2010年7月刊の 『遊牧夫婦』

★ 私の感想は コチラ

2冊目は、2011年10月刊の 『中国でお尻を手術〜遊牧夫婦、アジアを行く』

★ 私の感想は コチラ

近藤夫婦は、「遊牧夫婦」の名の通り、5年間、世界各地を旅をしながら生活してきました。

今回は、旅の最後の1年間、
中国からユーラシア大陸を横断、
そしてアフリカへいたるまでの日々が綴られています。

近藤さんの文章は、とっても素直です。
変にかっこつけっていません。
だからとても読みやすい。

最近、ブログやフェイスブックの流行から、
皆、エッセイストのようになりつつありますが、
プロの文章は違うなあというのを実感しました。

伝え方、言葉の選び方、話題の取捨選択が違うのです。

やはり、プロはうまい!

近藤さんの文章はとっても読みやすいです。

また、読者との距離も近いんです。

私は、近藤さんが友達のような気がしてきましたもん。(笑)

まるで友人の旅を見守っているような、
そして、気付いたときには一緒に旅をしているような感じでした。

近藤さんは、読者だけでなく、人との距離が大変近い方です。

それが、そのまま文章にもあらわれています。

初めて訪れた国で、その土地の人を信用し、
車に乗せてもらったり、
家に泊めさせてもらったりしながら様々な人と交流しています。

出てくる人のほとんどがいい人なのにもびっくり!

人をそこまで信用できない私は本を読みながら、

「荷物をそんなところに置いたままで
 盗まれたりしないのかしら」

とおせっかいながら心配になってしまったほどです。(笑)

近藤さんは、国名だけで判断しません。

その土地の人と触れ合うことで、
その国の本当の姿を知ろうとします。

私もこの本を読んだことでいくつかの国の印象が大きく変わりました。

ニュースで報じられることは、ほんの一部です。

地球上に暮らす人たちは、
言葉や文化が違っても、
心はみな同じです。

人に優しくされたら嬉しいし、
美しいものを見たら感動もします。

みんな同じなんです。

でも、私たちは、自分とは異なる国、人種、文化の人に対しては、
警戒したり、拒否したりしてませんか?

「まず疑え」が当たり前になっている日本のような文明の進んだ国と、
不便な生活を送りつつも、人を信じ、初めて会った人を家に泊め、もてなしてくれる国。

近藤さんは、どちらが成熟した社会なのかわからなくなる、とおっしゃっています。

物質的な豊かさと心の豊かさが比例していればいいのですが、
残念ながらその反対のようですね。

また、情報だらけの今の時代、
リアルな生きる実感が欠落しているのではないか、ともおっしゃっています。

たしかにそうかもなあ。

そうか!

この本からは、そのリアルな実感が感じられるから、読んでいて気持ちいいのか。

『遊牧夫婦シリーズ』は、読みながら、寒さやしんどさ、美しさなどを追体験できます。

だから、私はこの本を読み終えたとき、
旅から帰ったような気分になったんだな。

***

近藤さんは、旅について

「旅は、○○○があるからいいのだ」

とまとめています。

さて、何があるからいいのだと思いますか?

気になる方は、ぜひ読んでみてください。

ちなみに、この本は、旅のエッセイの3作目ですが、
本の帯に、読み方の注意書きが書かれていました。

「本書から始めて、その後、1、2巻を読んでも十分楽しめます!」

と。

私もそう思います。

でも、きっと、3⇒1⇒2ときて、また3巻も読みたくなるかも。(笑)

秋の夜長(というにはまだ早い?笑)、
あなたも家にいながら、世界各地を旅してまわってみませんか?

素敵な人たちが本の中で待ってますよー。

いい出会いがきっとたくさんあるはずです。

本を読み終えたとき、
もしかしたら、旅から帰ってきたときのような精悍な顔つきになっているかも!?

yukikotajima 11:53 am