日本の心
2013年7月10日
富山置県130年の今年、
明治の富山が描かれた1冊の本が発売されました。
それも外国人の目を通して描かれた本です。
今この本が富山でちょっとしたブームになっているそうです。
紀伊國屋書店富山店でも、
6月8日に発売されて以来、よく売れているのだとか。
中にはまとめて何冊も購入される方もいらっしゃるそうです。
今富山で話題となっているのは、こちら。
『日本の心 〜アメリカ青年が見た明治の日本〜(桂書房)』
この本は、明治時代中頃に来日したアメリカ人青年、
クラレンス・ルドロウ・ブラウネルによる日本見聞録です。
ブラウネルは、富山をはじめとした北陸や関東などで5年過ごします。
この本には、彼の日本での様々な体験が描かれています。
実はこの本、1902年にロンドンで出版され、
その後、20世紀初頭のアメリカで人気を博したそうです。
そんな『日本の心』が、110年を経て初めて翻訳されました。
翻訳を手がけたのは、富山国際大学教授、高成玲子(たかなり・れいこ)さん。
また、彼女の急逝により、教えを受けた富山八雲会が受け継ぎ編集しました。
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まずは、ブラウネルの経歴を簡単に紹介。
彼は富山をはじめとした北陸や関東などで5年を過ごし、
現在の早稲田大学や富山と福井の公立学校で英語を教えていました。
そんな日本での暮らしが、日本を知りたいと思う外国人に向けて紹介されています。
富山にも住んでいたため、明治時代の富山の暮らしや、富山弁なども登場します。
たとえば「だら」など。(笑)
また、日本独特の生活に悪戦苦闘する様が、素直な感想から読み取れます。
そういう意味では、読みやすく面白い1冊でした。
また、独特な表現が多いも印象的でした。
いくつかあげてみましょう。
まず、日本海側のことを「西海岸」と言っています。
なんだかとてもおしゃれな感じがしますね。(笑)
お風呂に入った時のことは「私は茹で上げられた」と表現しています。
あまりの熱さにびっくりしたようです。
また、素のままの日本を知ろうとするなら、
何度もお風呂に入ることをすすめています。
お風呂では様々な話も聞けて、
お風呂こそ人間性を研究する点として最高の観点と言っています。
布団のことは「従順なベッド」。
日本の家に寝室はないかわりに、
布団を敷く場所のあるところはどこでも寝床になる。
ベッドのほうからやってくる、と。
面白い見方ですよね!
一方で、日本独特の表現に戸惑うこともあったそうです。
それは、「はい。ただ今」の表現。
何かをお願いし、「ただ今」と言われたものの、
その後の反応がなく、待たされることが多い。
辞書では「すぐに」とあるけれど、「すぐに」の反対語だと思う。
とあいまいな表現をする日本語には何度も苦しんだようです。
その他にもお焼香の仕方がわからず火傷をしたり、
慣れない正座をして足がしびれ笑われたりもします。
また、日本の言葉には英語の「キス」が無いことにも驚いていました。
それから、当時(明治中頃)は、
女性より男性のほうが偉いとされていた時代ということもあり、
女性があまり大事にされていないことについても触れられていました。
そんな中で、女が海に出て生活費を稼ぎ、男は家にいて家事をする
能登の海女さんのエピソードはブラウネルにとっては衝撃的だったようです。
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どうですか?
結構興味深い話が多くないですか?
そのほかにも、「へえ」と思える様々なエピソードがあります。
日本を知らないからこそのピュアな驚きがいきいきと表現されています。
明治時代とは言え、今の日本に通ずるところもあります。
一方で、忘れてしまった大切な日本の心を思い出させてくれる1冊でもあると思います。
また、明治時代の富山を知ることもできますので、
富山の方は、ほかの地域の方以上に楽しめると思います。
『日本の心 〜アメリカ青年が見た明治の日本〜』。
是非、読んでみてください♪