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67『タイニーストーリーズ』

2010年11月22日

今日紹介するのは、今年デビュー25周年!
山田詠美さんの10月30日に出たばかりの短編小説
「タイニーストーリーズ」です。
tinys.jpg
まず装丁がとってもかわいい!
まるで外国の本のような雰囲気です。
雑貨のようにお部屋に飾ってもかわいいかも。

私が山田詠美さんの作品に初めて触れたのは高校生の時。
「放課後の音符(キイノート) 」や「ぼくは勉強ができない」などを、
まさに主人公と同じ年の頃に読みました。

どんなストーリーだったかは、もうほとんど覚えていないのですが、
山田詠美さんの作品には、「むきだしゆえの痛みと熱さ」があったように思います。
何も覆われていないから、ストレートに心に響く感じがしました。

今回久しぶりに山田詠美さんの作品に触れて、
その10代の頃のむき出しの感覚がよみがえってきました。

彼女の作品の中の日常は、普通のようでいて濃密なのです。

「タイニーストーリーズ」の本の帯にこんな文章が載っていました。
「言葉のしずくが 心に落ちれば 世界は色を変える」。
まさに、読んだ後、色が変わりました。

今回は短編集でしたが、長さは関係ないな、と。
たった1行でも心を満たす言葉はあるのです。

この作品には、全部で21の作品が入っていますが、
それこそ21冊分の本がぎゅっと凝縮されたような感じです。

戦争のこと、家族のこと、恋愛のことなど、特に一貫したテーマはありません。
だから、次はどんな作品が待っているのだろう?という楽しみがありました。

具体的には、
・理不尽な生活から抜け出すべく、
 100歳になったらたくさんの悪事を働こうと考えている主婦
・小学生の時のいじめ相手への復讐
・電信柱が主人公の恋のお話
・亡くなった母が遺したメモの意味
・涙もろい男性の恋の結末
など、まったく共通項がありません。(笑)

でも、どれも、どんな話だろう?と気になりませんか?

また、どの作品も短いので、テンポがいいのです。
文章がいきいきとしていて、声に出して読みたくなりました。

いつかこの作品の朗読劇があれば、見てみたい。というか、私自身、やってみたい!

あなたの心にも、ぽたっと言葉のしずくを落としてみませんか?
色、変わりますよ!

yukikotajima 9:05 am