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63『新参者』

2009年11月9日

9月に発行されたばかりの東野圭吾さんの新作『新参者』を読みました。
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紀伊國屋書店でも人気ランキングの上位にある作品ですので、
すでにお読みになった方もいらっしゃるかもしれませんね。

『新参者』は、東野さんの人気シリーズ、
加賀 恭一郎(かが きょういちろう)シリーズの新作です。

ちなみに、このシリーズ初回は、1989年の『卒業』です。
新作『新参者』では、30代半ばくらいの刑事になっていますが、
『卒業』では、大学生として登場します。

その後、加賀は、『眠りの森』『悪意』『どちらかが彼女を殺した』
『私が彼を殺した』『嘘をもうひとつだけ』『赤い指』の作品にも登場します。

今回は、日本橋に着任したばかりの刑事・加賀が、
着任してすぐ、その土地で起きた殺人事件を解決していく、というお話です。

事件は、こう。
日本橋の一角で、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体が発見されます。
加賀と同じく、この女性もこの町に来て日の浅い新参者です。
加賀は、なぜ彼女が殺されたのか、事件の謎を解き明かすため、
初めての土地を歩き回りながら、町の様々な人々に声をかけていきます。
おせんべいやさんの娘さん、瀬戸物屋のお嫁さん、洋菓子屋の店員さんなど。

加賀が声をかける度に、町の中の様子や人のつながりが明らかになり、
まるで、加賀と一緒に知らない町を歩きまわっているような気持ちになります。

加賀は、誰もが見向きもしないような些細なことにこだわり続け、
たくさんの方に話を聞いていきます。
そして、加賀は、事件を明らかにするだけじゃなく、
加賀が関わった人々の心の中まで明らか(素直)にしていきます。

一般的に、登場人物が多すぎると訳が分からなくなってしまうものですが、
この作品は、一人一人の特徴がしっかりしていて、ごちゃごちゃになることはありません。
また、印象に残る描き方をしているのも特徴的。
人のいい部分と弱い部分。一人の人間の様々な面を描いています。

おせんべいの香ばしい香りや、おばあちゃんの笑い声、子供たちの走りまわる様。
そういった、下町ならではの空気感が随所に感じられました。

加賀恭一郎シリーズのファンの方はもちろん、
まったく知らない方でも楽しめます!
というか、私自身、加賀シリーズを読むのは初めてでしたし。

加賀シリーズの面白さにはまった私は、早速、加賀初登場の『卒業』を読み始めました。
大学生の初々しい加賀君が、かわいくてほほえましいのです、これが。

yukikotajima 10:13 am