『路面電車すごろく散歩 増補版』
2022年8月10日
もうすぐお盆ですね。
離れて暮らす家族が帰省したり、お墓参りに行ったり、
懐かしい友人や家族に会ったりするお盆は、
より「富山」を意識する時期ではないでしょうか。
「富山」と言うと、どんな言葉が浮かびますか。
立山連峰、ホタルイカ、シロエビ、ブリ、ますずし、地酒…
中には「路面電車」を思い浮かべる方もいるかもしれません。
先日、富山駅の電停で路面電車がくるのを待っていたところ、
レトロなデザインの路面電車がやってくるなり旅行中と思われる若い女性たちが
「かわいい〜」と言いながら写真を撮っていました。
きっと富山の思い出の一つに「レトロな路面電車」も入るのでしょうね。
あなたは、日頃、路面電車は利用していますか。
私はよく利用しています。
とくに富山駅の南と北が接続してからは、より利用するようになりました。
そんな富山の路面電車が紹介されている本を読みました。
『路面電車すごろく散歩 増補版/鈴木さちこ(イースト・プレス)』
この本には、著者の鈴木さんが実際に乗車した
北海道から鹿児島まで全国の路面電車が紹介されています。
それも、ゆるいタッチのイラストや写真満載なので、雑誌感覚で楽しめます。
雑誌と言えば、もともとはANAの機内誌「翼の王国」で連載していたそうです。
それをまとめたものが2014年に単行本として発売されました。
今回は、2014年に発売された本の増補版で、路面電車の最新情報が追加されています。
その情報こそ、富山の話題なんです!
鈴木さんは旅先でローカルな電車に乗るのが好きな「旅鉄」だそうです。
中でも路面電車は、おもちゃのようなかわいらしい風貌がお気に入りなんだとか。
路面電車は、進んでは電停で止まって、走り、また電停で止まってを繰りかえす様子が、
まるで「すごろく」のようだと、鈴木さんはおっしゃいます。
だから本のタイトルに「すごろく」とついているのですね。
路面電車を「すごろく」と捉える感性が素敵です。
たしかに行先を決めずに「すごろく」感覚で乗ったり降りたりするの、面白そう!
それこそ実際にサイコロをふりながら旅を楽しむのもいいかも。
本物のすごろくのように、休憩したり戻ったりしながら
すごろく散歩をしたら、意外な発見もありそうですしね。
鈴木さんによると、路面電車に乗るだけで「その土地の素顔」が見えてくるそうです。
普段使いしている人の様子からも、ゆっくり走る車窓からも。
また、この本では電車の路線図がまさに「すごろく」のように描かれ、
その土地らしい人がコマになっています。
例えば、長崎電気軌道では、坂本龍馬やグラバーのイラストのコマが描かれています。
そのほか、それぞれの路面電車の特徴や電停近くの名所や、
鈴木さんが実際に召し上がった食べ物のイラストが載っています。
これが、どれも美味しそうで、この食べ物を食べるためだけに出かけたくなるほどです。
また、電車が大好きな鈴木さんらしく、
路面電車が走る様子を店内から見られるお店を選んで
ご飯を食べたりお茶をしたりしていることが多いのも特徴です。
例えば、長崎の場合は、ある電停近くの2階の喫茶室の奥の窓の席からだと、
路面電車が鑑賞できるそうです。
それも、ここからの角度は路面電車おもちゃのように可愛く見えるのだとか。
ただ見えるだけじゃなく、どう見えるかも大事なのですね。こだわりがすごい!
こんな感じで、全国の路面電車が紹介されているのですが、
富山の路面電車も紹介されています。
万葉線と富山地方鉄道 富山港線と市内線です。
鈴木さんは万葉線の六渡寺電停を出て庄川橋を渡るとき、
線路脇に柵が無いので、まるで空を飛んでいるようだとおっしゃいます。
私はまだ万葉線に乗って庄川橋を通ったことが無いので、
いつか空を飛ぶ感覚を味わってみたいと思います!
また、富山地方鉄道の紹介ページには、雪の時期の路面電車の話題もありました。
富山市では雪の季節に、終電後に除雪車で除雪した後は、
始発まで雪が積もらないよう、1、2両を走らせているんですって。
知らなかったー!
今回の増補版には今年再び訪れた富山での出来事が綴られています。
鈴木さんは路面電車の南北接続を見たかったそうで、
今回、8年ぶりに富山を訪れたのだとか。
そして、再び富山を褒めてくださっています。(笑)
富山の皆さんもぜひこの本を手に路面電車に乗って、
あらためて「富山」の街を楽しんでみてはいかがでしょう。
私は近いうちに空を飛ぶ感覚を味わいに万葉線に乗りたいと思います。
本を読んだ後に、ちょうど路面電車に乗ったので写真を撮ってみました。
北陸新幹線を降りたらすぐに路面電車に乗れるのも富山の特徴です。
こちらは富山城と路面電車です。
あなたは、どこから撮る路面電車のある風景がお好きですか。