ブログトップページはコチラ

44『三ヶ月の花嫁』

2009年8月12日

8月は、6日は広島、9日は長崎の原爆の日、15日は終戦記念日で、
1年の中でも「戦争」について考えることの多い月ですよね。

私も子供のころは、今は亡き祖父から戦争の話を何度も何度も聞かされていました。
当時は、ずっとずっと昔のことだと思っていましたが、
年齢を重ねるにつれ、実は、そんなに遠い日の話ではないと、感じるようになりました。

戦争をテーマにした舞台や映画を見たり、本を読んだりする度に、
祖父のことが思い出され、
その度に、祖父の話をリアルなものに感じ、胸がギュッと締め付けられました。

そして、昨日、また、祖父のことを思い出しました。
というのも、戦時中の物語を読んだのです。

『三か月の花嫁/小河すみれ』という本です。

最初目にしたとき、映画化もされた『余命1ヶ月の花嫁』と似たような話かな?
と思ったのですが、まったく関係ありませんでした。

『三か月の花嫁』は、著者のお母様をモデルにした、戦争にまつわる物語です。

お母様は、数ヵ月後に出征する若者に嫁ぎました。
親同士が決めた結婚で、夫に会ったのは結婚式の当日でした。
夫が戦争に行くまでの数カ月間、夫婦ごっこをしていればいいからと、
籍も入れませんでした。

実際の生活も夫婦というよりも、仲のいい兄妹のような生活でした。
親が決めた結婚でしたが、2人ともお互いを思いやる優しさがあり、
2人の関係は、ほほえましいものでした。
そして、気楽なものでした。数か月夫婦のフリをしていればいいのですから。

しかし、2人の心に生じてはいけない感情が湧いてしまいます。

旦那を戦場に送り悲しい思いをしている実の姉から、
「心までは差し上げてはだめ。愛があるほど待つ身はつらい」
と念を押されたにも関わらず。

そして、夫の出兵の日が近づいていきます…。

『三か月の花嫁』は、優しさと愛に満ち溢れた作品でした。
そして、その愛を感じる度に私は涙していました。

嫁ぐ日の親子のやりとり、
姉からの手紙、
夫婦がお互いを心から必要と感じた時、
夫の本音。

以上、私が泣いたところです。
はっきり言って泣きすぎです。

でも、当事者はもっともっと辛く悲しかったのですよね。

戦死者は約212万人と言われています。
つまり、その何倍も何十倍も悲しんだ人たちがいるということです。

その悲しみは、もう2度と味わってはいけない感情だと思います。
でも、戦後生まれの私たちは、
当時の方たちが、どのような思いでいたのか、知る必要はあると思うのです。
同じことを二度と繰り返さないために。

それから、この本は、「平和への願い」だけでなく、
相手を思いやる気持ちもあふれています。

今の時代は、
自分さえよければいい、とか、
自分の気持ちを曲げてまで人に合わせたくない、とか、
よくも悪くも「自由」すぎるのかもしれないなと思いました。

自分の気持ちを大切に思うように、
相手の気持ちも同じように大切に思う人が増えたら、
世の中はもっと平和になるのかもしれませんね。

戦争が無いから平和というわけではありません。
戦争が無いのは当たり前で、
戦争が無い中で「平和」な生活を送るには、どうしたらいいのか、
それを考えることが、本当は大切なのですよね。

そのヒントが、この本の中にあるように思いました。

今週末土曜日は終戦記念日です。
是非、この機会に戦争について、平和について、考えてみてはいかがでしょうか。

yukikotajima 10:35 am