シーズンⅡ「巴御前」第1話「義仲・巴、出会い」の巻(2020年4月14日・放送)
2020年4月14日
2020年4月よりこの番組も「シーズンⅡ」に突入しました。
今月からは巴御前を軸に物語を展開します。
引き続き、お楽しみください。
このブログでも、絵とともにお話をご紹介します。
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平安時代末期、源平合戦のさなかに、すい星のごとく現れ、京の都に進軍した天才武将、木曾義仲。
この義仲のそばにいて、ともに戦っていたのが「巴」という女武者。
巴御前の生涯とは、いかなるものだったのでしょうか?
平安時代末期、信濃国。
一人の男の子が川辺で水の流れを見つめておりました。
この男の子の名は駒王丸。
後の木曾義仲であります。
(四郎)「おーい、駒王丸ぅ」
(走ってきて転ぶ)ゴロゴロ、ドスン (四郎)「いてて…」
(駒王丸)「何を慌ててるんだ、四郎」
(四郎)「お、俺に弟か妹ができるんだ。駒王丸、一緒に屋敷に来てくれ!」
駒王丸が立ち上がったその時、川の流れが渦巻いているところに龍の姿が見えました。
(駒王丸)「わっ!龍が出た!」
駒王丸が指さした方を四郎が見ても、何もいません。
(四郎)「何言ってるんだ。屋敷に急ぐぞ!」
四郎の後を追う駒王丸。
しかし、もう一度、渦巻くほうを振り向くと…
(龍)「私はあなたのそばでずっとお守りいたします」
龍の声が聞こえた気がしたのであります。
屋敷に着くと、四郎の兄の次郎が待っておりました。
(次郎)「遅いぞ、二人とも。もうすぐ生まれるようだぞ」
(赤ちゃん)「おぎゃーおぎゃー」
(四郎)「あっ!生まれた。父上、男の子ですか?女の子ですか?」
(兼遠)「うむ。女の子だ。お前たちの妹だ」
次郎と四郎の父親で、駒王丸の養父である中原兼遠が答えます。
(兼遠)「『ともえ』と名付けたぞ」
(駒王丸)「ともえ……かわいい名前ですね」
(兼遠)「うむ。駒王丸殿。ぜひとも、我が娘をかわいがっていただきたい」
(みんな)「あはは、あはは」(遊ぶ音)「ザブン、バシャバシャ」
数年の後、駒王丸は次郎、四郎、そして巴と川遊びをしておりました。
次郎と四郎が泳ぎの腕を競っています。
駒王丸と巴は少し離れたところで泳いでいました。
(駒王丸)「うっ、ごぼっ、ぶくぶく」
駒王丸も泳ぎは得意でしたが、うっかり、川の深いところでおぼれそうになったのです。と、その時。
(泳ぐ音)「スイー、スイー」
巴が、まるで龍のように、力強く、しなやかに泳いできて、駒王丸を助けたのであります。
(駒王丸)「ふー、あやうくおぼれるところであった。巴、ありがとう」
(巴)「私はずっと駒王丸様のそばにいて、いつでも駒王丸様をお守りいたします」
その声を聞いて、はっとする駒王丸。
もしかして、巴は龍神の使いなのでは?
巴が生まれたあの時、川辺で聞いた龍の声。
あれは、巴の声だったのでは?
駒王丸の心に、巴への淡い想いが宿った瞬間でございました。
ラジオ紙芝居『巴御前』「義仲・巴、出会い」の巻。
今日はここまで!