第8話「無残なり、篠原の戦い」の巻(2019年11月12日・放送)
2019年11月12日
倶利伽羅峠の戦いののち、敗走する平家軍を追い、加賀国を西へ西へと向かう義仲軍
突然、見事な直垂を着用した平家方の武将が目の前に・・・
このブログでも、絵とともにお話をご紹介します。
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倶利伽羅峠の戦いののち、敗走する平家軍を追い、
加賀国(かがのくに)を西へ西へと向かう義仲軍。
対する平家軍。
加賀国の篠原(しのはら)で軍勢を立て直し、義仲を迎え撃ちますが、
勢いにのった義仲の軍勢に対抗できず、あっけなく打ち崩されてしまいました。
再び平家軍が京に向かって敗走する中、
見事な直垂(ひたたれ)を着用した平家方の武将が、ただ一騎、
義仲の軍勢に立ち向かってきました。
義仲の家臣、手塚太郎光盛がこの武将を相手にし、首を討ち取ったのでございます。
光盛は義仲のもとに首を差し出し、こう報告しました。
(光盛)「ただ一騎、名も名乗らず、戦いを挑んできました。立派な直垂を着用していたので、首をお持ちしました」
これを見た義仲。
何かを感じ、家臣の樋口兼光を招き寄せたのであります。
(義仲)「兼光、これはもしや、斎藤別当実盛殿ではないか」
斎藤別当実盛は、義仲が駒王丸と呼ばれていた二歳の頃、
父 源義賢が源義朝に討ち取られた際、殺されるはずであった駒王丸を匿い、
木曽に逃してくれた命の恩人でありました。
(兼光)「いかにも。この首は実盛殿」
兼光は断言しましたが、老齢となっている実盛の髪は白髪になっているはず。
ところが、この首の髪は真っ黒でありました。
そこで…
(髪を流す音)「じゃぶじゃぶじゃぶ、じゃぶじゃぶ、ザーッ」
黒髪を池の水で洗ってみると、なんと白髪が現れてまいりました。。
(兼光)「そういえば実盛殿は、以前、こう申しておられました」
(実盛)「自分が年老いた武者だと分かったら、敵は侮って、相手にしてくれないだろう。だから、髪を黒く染め、若武者を装って戦う」と。
(兼光)「こたびは、殿と戦うにあたり、自分が実盛だと分かれば、命の恩人ということで手加減をするかもしれない、と思ったのでしょう」
(義仲)「そうか。これが最後の戦いと……死を覚悟しておったのか。なんと潔い……それにしても無残じゃ……」
命の恩人を討ち取ってしまったことを嘆く義仲。
しかし、平家との戦いはまだまだ続くのであります。
<おわり>