第3話「駒王丸、木曽へ」の巻(2019年6月11日・放送)
2019年6月11日
今回は、後の木曾義仲、駒王丸がなぜ木曽へと行くことになったのか
についてお話します。
あの出来事がなければ、後の木曾義仲、そしてこの番組もなかったかもしれません・・・
このブログでも、絵とともにお話をご紹介します。
----------
後の木曾義仲、駒王丸が二歳のときのこと。
駒王丸の父 源義賢と、義賢の兄 源義朝の間で、板東の地をめぐり、
勢力争いが起こりました。
源氏一族、しかも兄弟同士の争いであります。
義朝は自分の息子、悪源太義平をつかわし、義賢の館を襲撃します。
「うお、ぐお、ぐぬぬ。あ、悪源太め。…無念」
無防備であった義賢はあっさりと討ち取られてしまったのでございます。
「駒王丸はどこにおる。生かしておいては後々のためにならぬ。
見つけ出して殺してしまえ!」
義平は家臣の畠山重能に命じます。
そして駒王丸を見つけ出した重能。
絶体絶命の駒王丸。
果たして命運は尽きてしまうのか。
太刀を振り下ろそうとした、その刹那……
「ダ、ダメじゃ。ワシに二歳の子供を殺すことはできぬ」
思わず駒王丸を助け出してしまった畠山重能。
しかし、主の命令に背くこともできません。
困った重能、同僚の斎藤実盛に相談したところ。
「それではワシが信濃国に落とそう」
実盛は、駒王丸を義朝・義平の勢力の及ばない信濃国へ逃すことにいたしました。
当時二歳の駒王丸は母、小枝御前とともに、いくつもの山を越え、信濃国の木曽にたどり着きました。
懐に駒王丸を抱いた小枝御前、屋敷の門をくぐりますと。
そこには堂々たる偉丈夫の中原兼遠が立っておりました。
「兼遠さま、どうか、どうか、この駒王丸を頼み申します」
「安心なされよ、小枝殿。この和子(わこ)こそは源氏の由緒ある血筋をひくお方。
お迎えするのは、我ら信濃衆にとってもたいへんな栄誉でありますぞ」
兼遠は駒王丸一行を屋敷の奥へと招き入れました。
屋敷を案内する兼遠の背中。
駒王丸はそこに父 義賢を重ね合わせておりました。
かくして、駒王丸は信濃国の権守 中原兼遠に庇護され、幼少期・青年期を木曽で過ごすことになったのでございます。
< おわり >