第2話「駒王丸誕生」の巻(2019年5月14日・放送)
2019年5月14日
木曽義仲は、現在の埼玉県出身ってご存知でしたか?
今回は木曽義仲の誕生・どのような家系出身なのかについてご紹介します。
このブログでも、絵とともにお話をご紹介します。
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時は久寿元年、1154年。
武蔵野国にある大蔵館。
「どどどどど、どどど(廊下を走り回る音)」
「小枝(さえ)、小枝はどこじゃ」
「どどどどど、どどど(廊下を走り回る音)」
大声をあげて、屋敷の廊下を男が走り回っております。
この男、大蔵館の主、源義賢。
さて、源義賢。どのような人物かと申しますと。
源氏の嫡流、源為義を父に持っておりまして、兄には源義朝。
この兄の子が、後に鎌倉幕府を開く、ご存じ源頼朝。
つまり義賢は源頼朝のおじさん、ということになります。
そのような由緒正しき男が、いったい何を慌てているのでしょうか?
「小枝(さえ)、小枝はどこじゃ」
義賢の声に驚いて、奥の間から飛び出してくる侍女。
「ああ、と、殿。こちらです。奥方様はこ、こちらに」
義賢が侍女の手招きする部屋に近づくと、中から赤ん坊の泣き声が聞こえてまいります。
「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ(赤子の声)」
部屋に入ると、割れんばかりの大声をあげてわんわんと泣きさけぶ赤ん坊。
その赤ん坊を抱いているのは、義賢の奥方、小枝御前であります。
「あっ、殿……」
義賢は小枝御前のそばにかけ寄り、どすんと腰をおろします。
「でかしたぞ、小枝。おお、元気な男の子ではないか。よく泣きよるわ」
「ええ、殿に似て、とてもやんちゃそうな子ですよ」
「はっはっは。そうか、やんちゃか」
「殿、この子の名前、考えていただきましたか」
「おお、名前な。先に決めておいたのだが、駒王丸はどうじゃ」
「ああ、駒王丸」
「そうだ。駒のように力強く、気高く……
そう、御嶽山の凛々しさを受け継ぐことを願って考えた名前じゃ」
「駒王丸、駒王丸。素晴らしいお名前です……」
かくして、駒王丸と名付けられた義賢の次男。
源氏の嫡流に連なるこの駒王丸の運命やいかに?
< おわり >